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□東方伝記5
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ジヨンが鄭家に嫁いでから数日がたち
突然チャンミンはジヨンに呼ばれて部屋に向かった
何度嗅いでも
この香りには慣れない
「お呼びでしょうか、奥様」
「あぁ御苦労様。申し訳ないんだけど、この帯を緩めてくれないかしら」
チャンミンは言われた通りに、ジヨンの後ろから 硬く結ばれている帯を器用にほどくと
緩んだ反動で着物がずれて、サラシが露になってしまった
「も、申し訳ございません…」
「いいのよ…貴方なら。ねぇ…私って抱きたくなる女かしら…?」
焦って戻そうとするチャンミンの手を制止させたジヨンは、そのまま身体を反転させて
チャンミンの方に向いて腕をスルッと首に絡ませてきた
「それは奥様程の美貌があれば、世の男を全て虜にさせてしまうでしょう…」
「本当?なら貴方も私の相手をしてくれると言うことかしら…」
「御冗談を…。旦那様に殺されてしまいます」
「ふふ(笑)そうよね。あっ、これから彼と町に出るの。護衛頼めるかしら?」
「かしこまりました」
さっきのジヨンの瞳は
本気で人を誘惑する目だった
何が目的で自分にも色を吹き掛けてきたのか
チャンミンはこの時
本当の意味に気付けなかった
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