とても短いの。

□拒否権のない日
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「よぉ、ザクロ!」
「よぉ!」

スパーダは軽く手を挙げて挨拶し、ザクロも真似して返す。

すると、なぜかじっとザクロの口元を見つめてきたので、挙げていた手でサッと隠した。

「え、何?もしかして、私の口に何か付いてる?」
「ん?いや…お前の唇荒れてるなって。リップクリーム持ってねぇのか?」

口元を隠した手でソッと唇に触れると、皮が剥けてざらついていた。

「持ってない…」

その返事にスパーダはガックリと肩を落とし、溜め息をついた。

「お前さぁ…女としてそんなんでいいのかよ…」
「ダメだった?」

さらに深い溜め息をついた。
そしてザクロに向き直る。

「決めた。買ってやるよ」
「いいの?やったぁ!!」
「ただし!」
「ただし…何?」

頬に手を添えられ、スパーダの親指がザクロの唇に触れる。

「潤ったら俺にキスしろよな。拒否権はねーぜ!」


そうして二人で街へ出かけたのだった。

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