平和と家
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ベルと二人で資料室を過ごした後、名前はフランに出くわした。
「あ、名前先輩ー。ベル先輩、大丈夫でしたかー?」
フランに聞かれ、思い出してしまうさっきの言葉やベルの温もり。また体温が上がるのを実感した。
『う、うん!大丈夫!』
名前は真っ赤な顔でお礼を言い、足早にフランの横を通り過ぎた。
「…そんな顔真っ赤じゃ何かあったってバレバレですよー」
フランがもう一人ぼっちになった廊下で呟いた。
気づいたら、好きになっていた。いつも甘えてくる彼に。いつも私を導いてくれる彼に。気づいたら他と一緒じゃなくなっていた。
『あー。どうしよう』
気づいたらいつも側にいてくれた、ベルが好きになっていた。ベルは結婚しよ?とか、好き、とかいつも言ってて本気なのかわからなかった。でも、今日気づいた。ベルと私はちゃんと想い合ってるって。本当なら嬉しいことかもしれない。でも私とベルの間には約束がある。
「王子が名前のこと守れるほど強くなったらまた俺の気持ち聞いて。」
ボスの誕生日パーティの時の話だ。ベルからのお願いとそれを承諾した私。
『まだ付き合うのは早いってことなのかなぁ…』
名前は自室のベッドに大の字に寝て、呟いた。返事はもちろんない。ただ、呟いているだけ。もう止まれそうもないほど、強くなってた。気になる人、そんなんじゃない。きっともう最愛の人。
そんなときだった。携帯が鳴る。今すぐ全員会議室に集合、とのことだ。…今までこんな召集は見たことがない。だいたいヴァリアー幹部にそんなの呼びかけたところで、まとまるわけがない。
名前は一度大きく伸びをした。そして会議室へと足を運んだ。
幹部全員がそろったのは、約一時間後。
「遅ぇ」
ザンザスのイラっとした声に幹部全員が威圧に負けた。
「コズモファミリーから通信が届いたぁ」
スクアーロがパソコンをいじって、スクリーンに映す。そこに現れたのは、コズモファミリーの面々。