平和と家
□17
2ページ/6ページ
ルッスは鼻歌を歌いながら名前の服を選んでいた。そしてしばらくしたら。
「これとこれとこれのセット!!!三種試着して頂戴!」
とルッスが言った。
『三回も着替えるの!?』
「そうよー?デートだもの♪」
ルッスがそう言うので、名前は諦めてルッスセレクトのコーデで服を着てみた。
『…似合う?』
「何であなたは何着ても似合うのよー!」
ルッスが唸る。結局全部試着したが、ルッスは頭を抱え、何を着て行かせるか悩んでいた。
「じゃ…最後くらい名前が決めちゃいなさい!!!」
ルッスが小指をたてる。
『え!?この中から?』
たしかに嫌がりはしたが、コーデ自体は結構好みの物ばかりで、気に入った物だった。
(うーん…どうしよう)
名前も首を傾げ、悩んだ。そして約20分後。名前は自室を出た。
ベルを迎えに、ベルの自室へ向かう。リズムよく、ドアを三回ノックした。
「入れば?」
なんて声が聞こえたので、扉を開けた。
「あ、名前じゃん」
中にいたのは私服のベル。どうやら今日はいつものボーダーがないっぽい。えんじのシャツに羽織る黒いジャケット。細身の足が黒いズボンで隠されている。
「やっば。名前超かわいーじゃん」
ベルはししし、と笑って近寄る。ベルにほめられた名前の私服はというと。アイボリーの丸襟ブラウスの上に赤いニットを着て、下は半端丈の紺のスカート。
『ベ、ベルもかっこいいよ!!!』
やっとの思いで出た本音。ベルは満足そうに笑った。
「だって俺王子だもん」
そう言うベルに相変わらずだと思う。でもそんなベルに笑いかけた。
「じゃ行こうぜ」
ベルが名前に手を出した。名前も躊躇する事はなく、その手を取り、二人は歩き始めた。
「きゃー!ベルちゃんったら♪」
「オカマは黙ってて下さーい」
ベルと名前のことをちゃっかり幻術で騙して見ていた人がいたことに、二人が気づくことはなかった。