平和と家
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談話室で朝食を食べた後、ルッスと話をしていたときだった。
「ししし、名前ー」
ベルが後ろから名前に抱きついた。
『ん、ベルどうしたの?』
「お前今日暇?」
『任務はないよ?』
名前がそう言うと、ベルは嬉しそうに口角をあげた。
「じゃ、王子とデートしよ?」
ベルがそんなことを急に言うもんだから、名前は顔を真っ赤にした。
「あらあら♪行ってきなさいよ、名前」
ルッスも楽しそうに言った。
『デ、デート?私と行って成立するの?』
「大丈夫だって。また買い物したりしよーぜってとこ。久しぶりに遊びてーの」
ベルがししし、と笑った。名前は真っ赤な顔のまま、じゃ行く、とだけ答えた。
「ししし、お前何分で準備できるわけ?」
『や、わかんない、あ、どーしよ』
もう頭がパンパンでしっかり働かない。
「んもう、名前ったら♪大丈夫よ、ベルちゃん。私が準備させるわ☆」
「了解。じゃ出来たら王子のこと呼んでよ。俺も準備するし」
ベルは最後に名前の頭を撫でて、談話室を退室した。
「さぁぁぁぁぁ!!!名前!!準備よ!」
ルッスが立ち上がり、思考も行動も完全停止していた名前を小脇に抱えて、談話室を出て行った。
「…何だぁ?あいつらぁ?」
スクアーロが呟いた。
「知らないよ。さっさと行くよ、スクアーロ」
今日任務があるスクアーロとマーモンは首を傾げながら玄関へ向かった。
「名前のタンスはこれね♪」
ルッスがクローゼットを開け、タンスを開け、コーディネートし始めた。とかいう私は未だに思考、行動ともに完全停止中。
『ルッス…デートって何するの…?』
やっとの思いで絞り出た声。
「何って…男と女がイチャイチャしてればデートよっ!!!」
小指をたてて、ルッスが力強く言い放つ。
(完全にスイッチ入っちゃってるよ…)
名前は相変わらず顔を真っ赤にしたまま、深いため息をついた。