平和と家

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ヴァリアー邸に着いたのはもう夜も更け、深夜だった。夜も遅いのに使用人さんたちが笑顔でお帰りなさいませ、と言ってくれた。私は笑顔でただいま、と言う。


ついにヴァリアー邸に帰ってきたのだ。建物の中に入れば、懐かしい匂いに包まれる。安心できるここに帰ってきたのだ。談話室の扉を開けると、フランがいた。

「あ、名前先輩ー、お帰りなさーい」

いつもと変わらない無表情に単調な声。私もまた笑顔でただいま、と返した。その様子にフランもちょっとだけ微笑んだ。名前は気づいていなかったようだが。

けがをしたレヴィは医務室にいて、手当も受け、復帰にそんなに時間もかからないようだった。今は寝ているらしいので、起きたらあとでお礼を言いにいこうと名前は決意した。

「今日は皆で飲みましょ♪」

ルッスがそんなことを言った。

『え!?皆疲れてるでしょ?休まなくていいの?』

名前が尋ねる。

「名前が帰ってきたんだもの!お祝いしなくちゃ♪」

ルッスはサングラス越しにウィンクした。

『でも…私のために悪いよ。ただでさえ今回は私が悪いのに…』

「細けーこと気にすんなよ」

ベルが後ろから名前に抱きついて言った。

『わ、ベ、ベル!』

久しぶりのベルの激しいボディタッチに驚いて。ベルはそのままでししし、と笑った。

「俺らがやりてーの。だからお前は何も考えないで頷きゃいーの」

ベルが名前の頭をガシガシ撫でた。大きくて温かくて細くて長い指。


(ベルの手だなぁ…)


名前はそう思った。いつもは髪が乱れるから払っちゃうけど、今日は懐かしいその感触に甘えさせてもらった。

『…わかった。ありがとう、ベル、ルッス』

名前がそう言うと、ルッスとベルは微笑んで名前を見た。









談話室で結局幹部達がもったのは三時間程度。やっぱり戦いの疲れには勝てないようで気づけば全員で談話室で寝ていた。朝の05:30頃。名前の携帯が鳴った。名前は眠いが目をこすって電話に出た。
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