平和と家
□06
1ページ/9ページ
『…39℃。結構高いよ』
「スクちゃんどうしたのよ。風邪ってだけでも珍しいのに…」
スクアーロはルッスーリアの言葉に返事をする余裕もないらしい。額に乗せる氷は次々に水へと変わる。だがスクアーロの熱はまだひきそうもない。
「…スクちゃん何かあったのかしら」
『何かって?』
「スクちゃん基本病気しないしここまでこじらせることなんて殆どないのよ」
…ここまでなるのはだいたい心も体も弱くなっている時なのよね。
『そうかぁ…。』
「多分この様子じゃ明日復帰は無理そうね…」
『うん、確かに』
「ただ明日名前以外皆任務でいないのよ」
『え!?ルッスもベルもマーモンもレヴィも??』
「しかもボスもよ」
『本当に皆いないんじゃん』
「…明日スクアーロの看病頼んで大丈夫かしら?」
『うん。了解』
ルッスーリアはスクアーロに飲ませるための薬を持ってくる為に病室を出ていった。
「…う゛…」
スクアーロの特徴的な濁点が着いた声。気がついたのかと思って確かめるため顔を近づけるが起きてはいないらしい。
『…スクアーロ。』
名前は普段から温かいがいつもにまして熱いスクアーロの右手を取った。手が大きくて細く長い指に触れる。眉間に皺を寄せる顔が少し和らいだような気がした。長い銀の髪が汗でぴったりと顔に張り付くのがなんとも言えぬ色気を出す。
『…頑張って』
大きな右手を名前の小さな両手が包んだ。しばらくスクアーロについていると名前はスクアーロの横で眠ってしまった。ルッスーリアは薬とペットボトルで持ってきた水を近くの机に置くとニヤニヤしながら病室を後にした。
「…ん゛」
スクアーロは目を覚ました。日本のガキ共を送っていたのに気づいたら…ベッド。そして右手が温かい。ふと目をやると寝ている名前。一瞬で心臓が早鐘を打ち始める。
「…名前っ…」
体を起こそうとすると激しい目眩がした。だが自分の名前を呼ばれたからなのか、スクアーロの右手が動いたことでなのか、名前は目を覚ましたらしい。
『…あ、スクアーロ…大丈夫?』
寝起きでとろんとした目。色々と大丈夫じゃない。