平和と家

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ボンゴレ10代目候補、そして守護者達が来てから約3日。やっぱりスクアーロとマーモンを見かけることが少なくなった。どうやら守護者達と何かをやってるらしいことまでは掴んだが詳細はあまりわからない。そんな日の夜、名前は沢田綱吉の部屋に行くことにした。スクアーロとマーモンが何をやっているのかも気になるが、そうじゃなくてただ話をしに行く。依然誰かに聞いたこと。沢田綱吉はいつも眉間に皺を寄せ祈るように拳を振るうと。もしかしたら沢田綱吉なら自分の気持ちをわかってくれるんじゃないか、そう思ったから。名前は何となく思っていたことがあった。この前のスクアーロとの任務から結局自分には任務が入っていない。もしかしたら自分の無力さにザンザスが呆れてしまったんじゃないか、とか自分はここにいていいのかとか、嫌な思いばかりが自分の中を蠢いていた。沢田綱吉からここにいる意味はないとか言われたら自分はどうするんだろう。そんな最悪な考えと戦いながら名前は沢田綱吉の部屋の前に着いた。

『沢田…いる?』

ノックをして声をかけるとドアの向こうからバタバタと慌てた音が聞こえた。

「はい!どうぞ!」

そしてドアを開くと微笑む沢田がいた。

『ちょっと話がしたくて。』

「あ、うん。どうぞ」

沢田の部屋に入り、ソファに座った。

『…私、ここに来て始めて本音を話すから誰にも言わないで自分の胸中に収めてもらえるかな?』

「!?うん、どうしたの?」

『…私の夢の話から始まるんだけど…私ついこの間まで国際協力をしたいって思ってたの。』

沢田は名前が話終えるまで静かに聞いてくれていた。

たくさんの人を救いたいって思っていたこと。でも暗殺部隊に来てしまったし、私はむしろ悲しませることしかできなくなるだろうと言うこと。それにこの前の任務で感じた無力さ、やっぱり人を殺せない自分の甘さ。そんな人間がここにいる意味もわからないこと。

『…どう思う?』

沢田は難しそうな顔をした。でもすぐに口を開いた。

「…何て言うか、俺は世界中の人を救いたいとか本気では考えたことなくてさ。参考にはならないと思うけど…俺は名前の考えはすごく立派だと思う。それに俺もできる限り人を傷つけたくないんだ」

沢田は苦笑いをした。
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