平和と家
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いつもと変わらない朝も少し違う物に見えた。
「う゛お゛ぉぉぉい!!どうにかなんねぇのかぁ!?」
スクアーロの吠える声と彼の隣で爆笑しているベル。そしてベルの腕の中でため息をつくマーモン。
三人の様子の原因は…名前。今日は初任務。そう考えたら緊張しちゃって思うように体が動かなくなっていた。
『だ、大丈夫!私本番に強いタイプ!』
…のはずです。
「本当かぁ?とりあえずお前の武器だ」
スクアーロはそう言うと銃を片手にしている。
『…本物!?』
「当たり前だろうがぁぁぁ!!!」
手に持つと重さがすごい。
『こんなに重いの急に使えないよ』
「今日は大丈夫だろぉ、念のためだ」
俺もいるしなぁ、なんて言うスクアーロは名前の頭を力強くがしがしと撫でた。
「じゃ行ってくるぜぇ」
スクアーロがそう言い名前はベルとマーモンに手を振った。そして名前はついに初任務に出発した。
標的はヴァリアー邸から車で40分位の所にあるらしい。しばらく歩くとスクアーロが名前を担いだ。
『な、何!?』
「こっちの方が速いんだぁ」
そう言うとスクアーロは人間業ではない速さで走り始めた。
『無理無理ヤバいって!!』
名前のそんな訴えも虚しく響くだけだった。これぞ俗に言うヴァリアークオリティーである。
標的のアジトにつく頃には名前は気絶しそうだった。
『…スクアーロのばーか。カス鮫。』
もう今ならスクアーロに何でも言えるよ。
「何とでも言ってろぉ」
何でそういう大人な反応ベルには出来ないんだか。
「…緊張どうやらとれたらしいなぁ」
…!?気づかなかった。いつの間にか普通の人間らしい動きが出来るようになっていた。
『…いつからだろう?スクアーロに下ろされてからかな?』
「じゃあ俺のおかげじゃねぇかぁ」
『でも他の方法が良かったな』
そう言って二人はアジトの侵入を始めた。そんなに有力なマフィアじゃないらしくアジトはヴァリアー邸とは比べものにならないほど小さい物だった。おかげですぐに情報がある部屋を見つけられた。
「…お前一人でも大丈夫だったんじゃねぇかぁ?」
『だめだよ。緊張とれないもん』