平和と家
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国際協力をしたい。これは私が中学生になってすぐにできた夢だった。
アフリカやアジアにいるお腹いっぱいご飯を食べれない人たちや温かい布団を知らない人たち。余りに過酷な労働をしいられる人たち。現実をみた私は辛くなったけど、その人達を心から笑わせてあげたい。そう思った。
それから5年間必死に勉強した。英語は英検で一級をとった。成績は一位から落ちたことがなかった。どれも全ては自分の夢のため。でも17歳の誕生日。私の努力は全てが水の泡になったんだ…。
17歳の誕生日。名前は塾から帰宅した。誕生日だからいつもより早く切り上げてきた。
「あら!おかえりなさい」
母さんが微笑み料理を食卓に運ぶ。父さんはもう席に着いている。並べられているのは私の好物であるものばかり。
『わー!!美味しそう!』
私は手を洗いに洗面台へ行った。すると…
パァン!
と渇いた音がした。聞きなれない音。でも何度も聞いたことがある。映画の中とかでなら。
『…お父さん?お母さん?』
少し怖くなった。そしてリビングには赤い世界が広がっていた。
ぐったりとして動かない、でもまだ温かい赤く染まった両親。
「…てめぇはここのガキか?」
後頭部に固くて冷たい物が当たった。
「…死ね」
そう言われた。反射で目をつぶったが自分には何もない。むしろ背後から男の叫び声が聞こえた。
「…うぉっ!!」
複数の倒れたような音が聞こえた。
目を開けると知らない男が二人。
「…名字 名前だなぁ?」
目つきの悪い銀髪の人に言われた。恐怖のあまり頷くしかできない。
「俺たちと一緒に来い」
銀髪の人の後ろには目の紅い男の人。私はどうすることもできずにただ頷き、銀髪のお兄さんに横抱きにされ意識を失った。
次目が覚めたときには今まで見たことのない風景が見えた。
「…目が覚めたかぁ?」
私の隣には銀髪の人。
『…ここどこですか?てかあなた達誰なんですか?』
知らない男に連れられ知らない土地に連れてこられた。そう考えたら質問していた。
「ここはイタリアだぁ。両親はお前に何も話さなかったようだが知ってもらわなきゃならないことが多々ある。その一つが俺らの正体だぁ」
銀髪の人は淡々と話した。そして記憶がよみがえる。