平和と家
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「やはり気づいてはいなかったようですね、ウラーノ」
骸が後ろで言った。その隣にはクロームが立っていた。
『ベル、何ともないの?』
名前が尋ねた。
「そーゆーこと。お前とウラーノってやつは幻術をかけられてたんだよ」
ベルが言った。
たまたま別の仕事で来れていなかったクロームが応援で駆けつけてくれたようだった。
「俺たちはボンゴレだ。危機があれば常に一つとなりその危機を乗り越える」
綱吉が言った。
だが、ウラーノは高笑いをした。
「僕が幻術に関する対策をしていないとでも思うか!」
ウラーノの炎圧が更に上がる。その瞬間、何故かベルの隣にいた名前が引き寄せられた。
『ベル!』
「名前…!!」
辛うじて腕を伸ばし、名前を捉えるが。
「ヤベッ…」
ベルの体もその力に逆らいきれず引き寄せられた。ウラーノの炎は柱のように高く高くそびえ立つように大きくなった。
「ナイフ野郎!手を放せ!!」
獄寺のそんな声が聞こえたが、そんなことをしたら男が廃る。もちろん手を放す気はない。名前をもう一人にする気はなかった。
ベルと名前は二人の手が離れることなく、ウラーノの火柱の中に消えていった。
残されたヴァリアー、ボンゴレは言葉を失った。二人を飲み込んでもむしろ強まるばかりの炎圧に、ただ茫然自失するしかできなかった。
むしろ飲み込まれた二人は、不思議と体が傷つくことはなかった。周りを見ると淡い地球の炎。名前が無意識のうちにやっていた保護だった。
二人が向かっているのは炎の中心部のようだった。深く深く突き進んでいく。そしてそこで見つけたのは、ウラーノの姿だった。ウラーノは目をつぶり動かない。炎圧を高めるのに集中しているようだった。
その時、ウラーノと名前たちの間に何かが入ってきた。それはあの貘だった。
「名前っ!」
ベルが名前の腕を強く引いた。が、名前は首を左右に振った。