平和と家
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怪我人のマルテが近くの壁に沿って横たわる。
「マルテは脇で見てればいいよ。ただ、君はもうコズモファミリーにはいらない」
ウラーノが言った。
『ルッスーリア、治療をお願い』
名前がそう言うと、ウラーノの殺気がより強いものとなった。
「それは無理だよ。マルテには苦しんでもらわなきゃならない。僕のファミリーを裏切ったんだからね」
ウラーノが目を見開く。かなりの炎圧で天王星の炎が燃えた。
「特に愛しい人が傷つきながら自分が動けない無力感に苛まれながら死ぬのなんかは、プライドの高い君には苦痛で仕方ないだろうね」
ウラーノが言った。その言葉に皆が衝撃を受ける。
「マルテ、悪いけど僕は知っていたよ。グローボに影響されて変わっていく君を。無口で一匹狼だったマルテを変えたんだよ、名前が」
最後にはボンゴレ側に向かって言った。
「地球のリングの適合者としてだけではなく、君自身にも興味がわくよ。グローボ」
ウラーノが一歩一歩と近づいてくる。
「寄んな」
ベルがナイフを投げた。次の一歩をウラーノが踏み出していたら刺さっていたであろう場所にナイフは深々と刺さっていた。
「ナイト気取りかい?暗殺部隊が」
ウラーノが言う。
「ナイト?残念ながらオレは王子でしたー」
ベルが尋常じゃない殺気を出して、ナイフを宙に浮かす。ベルの周りを手品のようにナイフが舞う。
『…待って』
名前が口を開いた。
『この戦いにはボンゴレを巻き込みたくないの』
名前が苦笑しながら言った。
「巻き込みたくねぇって…」
『手を出さないで欲しい』
名前がきっぱりと言った。
「バカかてめぇはぁ!!!そいつがクソ強いのはわかってんだろうがぁ!」
スクアーロの怒号が背後から聞こえた。
『勿論わかってるよ。でもこれは私の血が原因だから』
名前がそう言って碧い剣を出した。
怖くないと言えば嘘になる。でも、これ以上皆を巻き込むわけにはいかない。
『私は私でケリをつけたいの』
一瞬凛としたその顔に見惚れる。
『だから、許して』
名前が言う。