平和と家
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「スクアーロ、やってみよーぜ」
山本がそう言った。顔は笑っていたが、目は真剣だった。
「…お前、名前が死ぬ可能性があるんだぞぉ」
スクアーロが言った。それ故に、決断を渋っているのだ。
「やってみなきゃわかんねーだろ?それにルッスーリアが来ればいざとなれば治癒だって出来る。死なせなきゃいいんだ」
山本が言った。死なせなきゃ、という言葉に怪我を負わせてしまうリスクの高さは否定出来なかった。スクアーロが渋っていると、そこに脚がとんできた。ザンザスがスクアーロをいつものごとく蹴飛ばしたのだ。
「何しやがんだぁ!このクソボスがぁ!」
スクアーロがそう言うと、ザンザスはその言葉に耳も傾けず、ただ言った。
「やれ」
「な゛っ、意味分かってんだろぉ!?てめぇだって!」
スクアーロが蹴られた背中をさすりながら立ち上がる。
「たりめぇだ…。名前を殺しなんざしたらかっ消す」
ザンザスはそれだけ言うと、もう動かなくなった。
この空気の中、ベルはししし、と笑った。
「スクアーロにはそんくらいの意気込みでいーんじゃねーの?ヘタレだし」
「ヘタレじゃねぇ!!!」
まるでいつものヴァリアー邸での会話のようなやりとりだった。呆れるようなやりとりに、山本も笑った。
「ザンザスもそう言ってるし、やろうぜ」
山本が言った。不思議と先ほどよりもやれる、そんな気持ちは強くなった。
「…やって…みるかぁ」
スクアーロが雨のリングに炎を灯した。
「そう来なくちゃな♪」
山本も炎を灯した。
「最大炎圧かぁ?」
「おうよ」
山本とスクアーロの炎圧が著しく上昇する。
「戦いを清算する村雨、鎮魂歌の雨」
リボーンがふとそう呟くと、二人は炎を氷に放った。
炎はみるみるうちに氷をとかして名前までたどり着いた。そしてその身に炎がつく。その場にいた全員がその光景を見つめた。雨の炎は名前の体を包みこんだ。そして名前の身体からまた別の炎が燃えた。地球のリングの炎だった。雨の炎が地球の炎を鎮静させていく。