平和と家
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戦いのあと、名前もショックを受けたがそれ以上にショックを受けたのはヴァリアーの面々だった。誰よりもベルが一番悔しくて悲しかった。でも他の皆にも何か心に一物がのしかかって、何をしても晴れる気分にはなれなかった。そしてあの晩、マーモンが帰ってきた。
「ボス、名前探しに行こーよ」
ベルの何度目になるかわからないほどの説得。
「…待ってろ。アイツは約束は果たすと言っていた」
ザンザスがそう言うとベルはぴくりと反応する。もうこんな会話も何度かしたところだった。
もちろんそのことを知らない幹部ではない。
「…またベル先輩ボスの部屋いましたよー」
フランが気の抜けた声で言った。
「そのうちアイツかっ消されちまうぜぇ?」
スクアーロが言うと妙に説得力がある話だ。
「でもベルちゃんが言ってることもわかるのよ。どうにかしてあげられないかしら?」
ルッスーリアが言った。
(だいたい私との約束もまだ果たせてないんだからね)
三人で話しているとき、一人は思案を巡らせていた。
(…探りを入れはじめてもいいかぁ…)
その頃。コズモファミリーでは。
「グローボ、ウラーノが呼んでます」
ドアをノックされ、開けるとメルクーリオが立っていた。
『わかった』
それだけ言って、名前は扉を閉めた。あの日、正式にコズモファミリーに入った日から名前はコズモファミリー内でグローボと呼ばれるようになった。ついに正式な地球のリングの継承者となったのだ。今はつけてはいないが、ヴァリアーリングの雲のリングはまだ持っていた。そのリングを持っていることで必ず帰ると誓いをたてているような気がしていたのだ。名前は自室を出た。ウラーノの部屋はすぐ真横。何ならメルクーリオなんて使わなくたっていいじゃないかと思うような距離だ。
一応ノックをする。すると中からどうぞ、と声が聞こえた。
「あ、来た来た。グローボ、大切な話があるんだ」
ウラーノは名前をソファに座らせ、飲み物を名前の前に置いた。