平和と家
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ヴァリアー邸について、幹部もほぼ全員寝静まった頃。
「う゛お゛ぉぉぉい!!!」
ガッシャン!!!
スクアーロの叫びとともに瓶の割れる音。そしてその長髪からウイスキーが滴る。
「るせぇ」
ものすごく不機嫌そうにしているのは我がボスザンザスである。日常と化しているこの仕打ちに腹立ちながらもスクアーロは話した。
「今日マルテに勝った直後、俺とベルフェゴールを呼んだのはわかるだろう?その時に忠告されたんだぁ」
「…明日気をつけろ、名前を頼む、ってなぁ」
スクアーロの話に目を閉じて聞いていたザンザスだが、名前の名前が出ると目を開いた。
「なんかあるって言いてぇのか」
ザンザスが尋ねるとスクアーロはああ、と返した。だがザンザスは再び目を閉じて言った。
「どんなカスだろうとかっ消せば同じだ」
この様子ならきっともっとちゃんと用心しろとか言ったって何も変わらないだろう、と判断したスクアーロは大人しくザンザスの自室から出て行った。
『ベル?』
名前がベルに声をかけた。
「なに?」
ベルが眠そうに目を擦りながら言った。
『帰ってきてくれてありがとう。約束守ってくれてありがとう』
二人でベッドに寝っ転がっていたが、名前がそう言うとベルが近寄ってきて、名前をぎゅっとした。
「俺は帰ってきたから、次はお前の番な」
ベルが甘く優しい声で言う。
『明日のこと?』
名前が尋ねればベルはもっと強くぎゅってしてくれて。
「明日もこれからも、名前が帰るとこは王子の隣だけだから」
小指を絡めるかのように約束、と二人は抱きしめあってそのまま眠った。
翌日。
「あら?私ったらそんなに寝てたの?」
ルッスーリアが目を覚ました。
『うん。でも昨日はベルとスクアーロが勝ってくれたよ!』
名前が笑顔で報告する。ルッスーリアはマーモンの幻術でやられたため、体力よりも気力の方が辛いと医師が言っていた。