黒子short

□夢幻の夜
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『和成やだよ。一緒がいい。天国っていいとこなの?』

「あー、まだよくわかんねーや。とにかくライに会いたいって思ったら、お前の部屋の前にいたからさ」

和成の笑顔に、私も少し笑った。会いたいって思ってたのはお互い様なんだね。

「でも俺今日しかお前のとこ来てやれねーから、伝えたいこと全部伝えに来たんだ」

そんなこと言わないで。また会いに来てよ、和成。

そう言おうとしたが、いつにもまして真面目な顔をした和成を見たら何も言えなくなった。

「幸せになってよ。俺のこと忘れてって言えるまで俺は大人じゃないから覚えてては欲しいけど。男だから好きな女には幸せになって欲しーの。出来れば幸せにしてやるのが俺だったらいいんだけど、それが叶わないから、さ」

…和成も…泣いていた。

「いっぱいいっぱい生きて。たくさん笑って、泣きたいときは泣いて。おばあちゃんになっても、今みたいなライでいてよ。そんでさ、」

和成が言葉を止めた。和成の顔も私と一緒で涙でぐちゃぐちゃだった。

「生きてる間は俺じゃない誰かを目一杯愛していいから、てかそうすることで幸せになって欲しいから、その後は」

和成の手が私の頬を撫でた。和成が泣きながら笑う。

「全部俺にちょうだい」

和成が私にキスした。二人とも涙でぐちゃぐちゃだから、しょっぱかった。もう愛してるだけじゃ伝えきれないよ。

『あげる。私の全部を和成にあげるから、もうちょっとだけ待ってて』

「…ありがとう、ライ」

和成と力の限り抱き締め合って、愛してるって声が枯れるまで言い続けた。二人とも子供みたいにバカみたいに泣いた。







気づいたら朝だった。ベッドにいつものように横たわっていて、目を開ければ何も変わらない自分の部屋が広がる。

夢だったのかもわからない。和成との約束。

今もまだまだ和成のことが大好きだ。もちろんこれからもずっと。そんな和成のお願いだ。それは叶えてあげるしかないよね。

まだまだ約束じゃ私と和成は会えない。でも、会うまでに私は和成に言われた約束、全て達成するね。
そして、和成に私の人生を全部教えてあげるの。
だから、和成。
もうちょっとだけ私を待ってて。

私は数日ぶりに自分からドアを開け、部屋の外に出た。
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