黒子short
□プレゼントは…
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目の前には苦笑する和成。そしてその目の前でひたすら謝り続ける私。和成の隣の緑間なんて超無表情。てか席外せよ。空気読めよ。
『本当ごめん!』
「いや、別にいいですって」
来月クリスマスもあることだしね、和成はそう言ったが、私的にはショックでもうどうにかなっちゃいそうだ。
彼氏の、和成の、誕生日を忘れてるなんて…!!
確かに最近WC前で、テストがあっても部活があって忙しいことこの上ないといった状態ではあった。それにしたって…彼氏の誕生日忘れるってことあるか…。
「高尾、俺は先に行ってるぞ」
緑間という名のお邪魔虫は、朝練の前のシューティングに向かった。そこに残るのは私と和成だけ。
『本当ごめん』
何度目かわからないこの言葉に、和成は頷いた。
「本当気にしなくていいっすよ。ライさんが俺らと一緒かそれ以上に忙しかったの、ちゃんとわかってるんで」
…なんて出来た彼氏を持ったんだろうか。
和成の手が私のことを引っ張った。私はその力に抗うことなんか出来ず、和成との距離はぐっと近づく。
和成の胸に飛び込む形になれば、耳元で和成がこそこそと話した。
「もし悪いって思ってるなら、今日俺んち寄っていって下さい。今日親と妹いないんで」
意味を理解した私は顔を真っ赤にさせて、和成の顔を見た。和成は笑顔だった。
『…わかった』
これも私が和成の誕生日を忘れたせいだ。
和成と離れて、じゃ、と和成が私の横を通り過ぎて行った。
私は顔の熱が早く引くよう、冷えた指先を頬に当てて、マネージャーの仕事の続きをした。
放課後。幸いにも部活は早めに終わり、いつもはチャリアカーを引いて帰る和成は私の隣で歩いている。緑間の説得は成功したようだ。
私と和成は手をつないで、二人で並んで歩いた。冷たい指先も、和成と手をつないでいる今はすごくあったかい。
「てかひでーよなぁ…。息子の誕生日に両親と妹不在なんて」
和成が言った。
『じゃプレゼントはないけど、私がお祝いする』
そう言ったら、和成は嬉しそうにはにかむ。