黒子short

□Strawberry Girl
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氷室先輩が言った。そんな言葉に私も笑みがこぼれて、氷室先輩に笑い返した。

「ライ、隣じゃなくてここに来て」

氷室先輩が言った。ここ、とは氷室先輩の膝の上。

『え、ダメですよ!私重いですし…』

「いいから。俺の誕生日お祝いしてくれてるんじゃないの?」

う、と言葉に詰まる。先輩はそうやっていつも私を上手く丸め込んでしまう。いつも通り勝てなかった私は、大人しく氷室先輩の膝の上にお邪魔することにした。
私が氷室先輩の膝に座れば、氷室先輩の男らしい腕が私のお腹に回る。バスケで鍛えてるだけあって、筋肉がすごい。でも指先とかはすごく綺麗で繊細そうで。私はその手を握った。

すると後ろからまた笑い声。

「今日はずいぶん積極的だね」

氷室先輩の優しく妖艶な声が私の鼓膜を震わす。

「でも嬉しいよ?」

氷室先輩の腕の力が少し強くなった。
こっち向いて、と氷室先輩に言われて従えば頬に不意打ちのキスをされた。リップ音を鳴らして離れれば、私はまた真っ赤になる。

「…可愛い」

氷室先輩の手が私の服の裾から中に潜り込もうとしていた。
ヤバい、流される…。
そう思った私は立ち上がった。

『あの、氷室先輩のためにタルト焼いたんで持ってきますね!!』

私は逃げるように自分の部屋を後にした。そしてドキドキいう心臓を落ち着けるようにゆっくりとタルトの準備をした。

タルトを自分の部屋に持って行くと、何事もなかったかのように氷室先輩がいた。

「ライおかえり」

笑顔の氷室先輩にまた心臓が高鳴る。

『あの、作ったんで…食べて下さい!』

私がテーブルにタルトを置く。

「これをライが作ったの?」

『あ、はい…』

照れくさくて視線を逸らすと、氷室先輩の大きな手が私の頭を撫でた。

「すごい嬉しい」

いやきっと今の私の方が多分嬉しさは上回ったと思います。私は顔を赤らめ、氷室先輩がタルトを口に運ぶのを見届けた。

「ストロベリーとチーズだね?」

私は氷室先輩の言葉に頷いた。
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