黒子short
□どうでもいいこと
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俺が近くの公園でバスケしてるところにアイツが話しかけてきたのだ。
『きみ、いつもここでだむだむしてるよね』
振り返ればさつきの後ろに女の子。
「ああ。バスケすきだからな!」
俺がシュートする姿をライが見た。
『…それどうやるの?』
ライが尋ねてきた。その目は輝いていて、俺は思った。コイツもバスケ好きなのかな、と。
「やってみるか?」
そう尋ねれば、アイツは満面の笑顔でうん!と頷いた。
あの日から、もうずっと一緒だったのだ。
二人でバスケをしている日々が当たり前だった。
憂さ晴らしに黄瀬と1on1をした。
俺だって赤司と一緒に帰ったのはムカつく。ライと家が同じ方向なのは俺とさつきだけだ。それでも赤司はライを送っていくだろう。
「俺が告りゃーいいのかよ」
俺がそう言えば、黄瀬はため息をついた。
「言いたきゃ言えばいいじゃないっスか」
出来たらしてるわそんなもん。
幼なじみの建前上、この一線を越える勇気を出したその時、もしかしたら念願が叶うかもしれないが、失うかもしれないのだ。この関係を。
「…俺も帰るわ」
俺はバッシュの紐を解き部室へ向かった。
マネージャーの仕事がまだ残っていたさつきをおいて一人帰路を歩く。モヤモヤはとれない。
「…青峰か」
すると目の前には赤司がいた。
「おう」
そう言って普通にすれ違おうとしたら、赤司に止められた。
「幼なじみの枠の中で満足しているようなら、ライは俺がもらうからな」
その言葉に、驚きを隠せない。お気に入りは見ていてわかっていたが、ここまで本気だとは思っていなかった。ちゃんと言葉としての宣戦布告を初めて受けた。
「やらねぇよ」
俺がそう言って、二人は別れた。赤司のあの言葉。もしかしてアイツは勝負にでてしまったんじゃないかと思う。
もし今日告ってたら…そう思ったら、俺の向かう先は家から変わる。気づけば、ライの家のインターホンを押していた。