黒子short

□この想いは
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目の前にいたのはつい20分ほど前まで話の主役だった一人、高尾君だった。

『高尾君?ですよね?』

「え、あ、うん。そうだけど」

こんな近くで見たことないから今気づいた。高尾君も結構身長高い。

「高尾!お前俺にリアカーとチャリを任せるな!じゃんけんに勝ってないだろう!」

その後ろからやってきたのは、主役その2、緑間君。

「あ、真ちゃんごめんごめーん。ちょっと人助け」

高尾が振り返った。そしてまた私に向き直る。

『あ、今度お礼させて下さい!本当助かりました』

そう告げれば

「いーよ、気にしないで。帰る途中?送っていこうか?」

高尾君が言った。多分この人すごいいい人なんだなって思った。

『でも緑間君待ってますよね?大丈夫ですよ!』

これ以上迷惑をかけるのも申し訳ないので断った。

「そう?気をつけてね。お礼楽しみにしとく!」

高尾君が言った。

『はい。あ、じゃアドレス教えてもらっていいですか?』

「ん?いーよ」

高尾和成。

齋藤 ライ。

二人の携帯に新しい名前が加わった。

『では、今日はこれで…』

私がそう言えば、高尾君が笑った。

「じゃーね、ライちゃん」

手を振る彼に一瞬目を奪われた。彼の向こうから緑間君の怒った声だけが響いていた。











私はそのまま無事に帰宅した。その時にはもう既に頭から高尾君が離れなくなっていた。
何か助けてくれたから王子様みたいに見える。
ついさっきまで友達のこと馬鹿にしてたのになー。

私は浴槽に沈んだ。目の下辺りまでを湯につけてため息をついた。気泡が目の前に広がった。

お礼、何しようかなー。

そんなことを考えながら私はシャワーを浴びた。












次の日の朝、またあのリアカー?とやらに乗った緑間君と高尾君に会った。

「あれ?ライちゃんおはよー」

目の前に高尾君が現れた。

『あ、おはようございます』

「昨日は大丈夫だった?」

『はい、ちゃんと帰れました』

高尾君が笑う。緑間君は誰なのだよ、とか言っていた。
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