黒子short

□この想いは
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「ライ!ちょっと聞いてる?」

友達が目の前で言った。

『聞いてるよー。緑間君と高尾君でしょ?』

私がそう返せば、友達の声が高くなる。

「そう!二人とも本当にかっこいいよねー。一年生でバスケ部スタメンだし!!」

友達は恋する乙女のようにはしゃぐ。あくまで、"ように"だ。
ミーハーな彼女はいつもこの手の話をする。

「高尾君はちっちゃいよ。緑間君は髪派手だしいつも変なの持ってるじゃん」

私がそう返せば、友達は怒ったように言い返す。

「ちっちゃくないよ!緑間君といるからそう思うだけ!しかも緑間君が持ってるのはラッキーアイテム!」

息継ぎなしで言い切る友達にため息をつく。あんま興味ないんだよねー、そういうの。







ライは友達とハンバーガーショップを出て帰路を一人歩いていた。

「あ、君可愛いねー」

そこに知らない男性が三人ほど話しかけてきた。どうしたらいいかわからず、オドオドしてしまう。

「あ、照れてんのー?いいね、そういう反応」

「暇なら俺らとどこか行こーよ」

三人に周りを囲まれ、逃げ出せずにいた。

『ひ、暇じゃないんで…』

そう言って間を抜けようとしたら、その間はあっけなく詰められた。私は怖くて俯いた。

「いーじゃん、楽しいコトしよーよ」

男の一人が私の腕を掴んだ。

「細っ、折れそー」

男はそう言って私の腕を引こうとした。が、

「その子嫌がってんだし、やめてやったら?」

目の前に救世主が現れた。
彼は私の手を引く男の腕を掴む。

「はぁ?高校生が調子のりやがって」

男が拳を構えたが、彼が腕を掴む力を強くした。

「ぐ、ぁっ、痛ぇっ!」

男はその強さに私の腕を離した。

「もう手ぇ出すなって」

彼がそう言ったら、男たち三人は舌打ちして逃げ出した。
解放された。そう思ったらすごい安心して肩の力が抜けた。

「大丈夫ー?」

彼が私の方に向き直った。

『あ、はい。ありがとうございます』

そう言って上げられなかった顔を上げた。

『あ』
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