黒子short
□いつか
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「ところでライちゃん明日朝空いてる?」
高尾君が言った。
『朝?うん、大丈夫だよ』
「明日俺先生にちょっと手伝って欲しい仕事あるって言われたんだけど朝練あってさー」
『私が代わりにやっとけばいい?』
「そう!お願いしたかったんだけどいいかな?」
『いいよー。バスケ部大変だもんね』
高尾君は大袈裟に感謝の言葉を告げておやすみーと言って電話を切った。
なら明日は早起きしなきゃなー。
その後すぐに私は寝る準備をして明日に備えた。
07:30。高尾君に言われた時間に教室に着いた。大人しく先生を待っていた。ガラッと教室の扉が開く音。その方を向くと。
『あ、おはよう』
緑間君がいた。
「な、何でこの時間にここにいるのだ」
緑間君はちょっと驚いたようだった。たしかにこの時間になんて普通の生徒はいない。
『高尾君の代わりに先生の仕事の手伝いだよ』
「た、かおだと…?」
明らかに機嫌が悪くなったご様子。なんか悪いこと言っちゃったかな?
『何か機嫌損ねちゃった?』
私が訪ねると緑間君は首を左右に振った。
「ライではないのだよ」
機嫌は損ねたらしいが、私が原因ではないらしい。良かった、と言っていいのだろうか。
『先生まだかなー。もう時間過ぎてるんだけど』
私がそう言ったら、緑間君は答えた。
「いや、恐らく先生は来ないのだよ」
『え?何で?』
気のせいだろうか。緑間君の顔が少しばかり赤い気がする。
「…ライ、俺は…」
緑間君が俯いた。一体なんだろう。はっきりしない緑間君なんて珍しい。
『どうしたの?』
そう問いかければ、緑間君がすたすたと近寄ってきた。
『緑間君…!?』
気づけば私は彼の腕の中にいた。
『え、あ、え!?』
「悪いが…これが精一杯なのだよ。…言えないのだよ」
心臓が早鐘を打つ。これは期待してもいいのだろうか。
『み、緑間君』
夢みたいだ、そう思った。この体温を忘れたくない。