黒子short
□いつか
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私の生活は入学式の日、バラ色に変わった。なぜなら…。
「真ちゃーん、部活行こー」
「なら早く帰り支度をしろ」
私の目線の先には緑間君。まだ一年生ながらもバスケ部のエース。しかも成績も優秀。かなり完璧人間。…変なものさえ持ってなければ。
彼の手には招き猫。どうやら今日のラッキーアイテムらしい。いつも緑間君はおは朝のラッキーアイテムを持っている。しかも口癖「なのだよ」だし。正直めちゃくちゃ面白い。でもそんな緑間君を好きになってしまったのだ。
『これから部活?大変だね』
私は二人に声をかけた。
「ライちゃんじゃーん。そうなのー。俺のこと癒してー!」
いつも緑間君と一緒にいる高尾君が言った。高尾君は緑間君の全く逆。お堅いイメージの緑間君とはうって変わっておちゃらけた感じの人。でも高尾君しか緑間君と一緒にいられないような気がする。皆から変人扱いされる緑間君の唯一の一緒にいる姿を見かける人なのだ。
「高尾…おいてくぞ」
緑間君がため息をつき、眼鏡をあげた。
もうその姿が麗しくてドキドキする。
「待っててよ真ちゃん」
高尾君がリュックのチャックを閉める。
「じゃ、高尾和成、今日もライちゃんのために頑張ってきまーす」
そんなことを言う高尾君を笑った。
『頑張ってね、緑間君も』
私がそう言うと、緑間君は背を向けながら言った。
「…ああ」
その背中を高尾君が追いかける。
愛しい背中が教室から出ていくまで見ていた。今は見てるだけかもしれないけど、でもいつかは必ずこの想いを伝えよう。
いつか、必ず。
「真ちゃん何顔赤くしてんのー」
「…うるさいのだよ」
「ライちゃんにもっと素直になれよ」
「…お前でも撃つぞ」
風呂から上がり、ベッドにダイブした。それと同時に聞こえてきた着信音。そして携帯の画面にはちょっと意外な人物の名前が書かれていた。
『…もしもし?』
「あ、ライちゃん?高尾でーす」