中編
□2 小指を繋いで
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スクアーロと名前。二人の息は上がっていたが、目の前の敵は明らかに減っていた。
『はぁっ、…っもう少し』
「あぁ。はぁ、さっさと終わらせて帰るぜぇ」
二人は背中合わせに互いの体温を感じ、互いに背中を守り合っていた。周りを取り囲むようにいた十人以上の男たちも、今は五人となった。これまでに倒された敵は足下に転がっている。
先ほどまで笑っていたターゲットのファミリーのボスも、段々顔に深い皺が刻まれてきた。
その時。
「ぐあぁっ!」
「うあああ!」
二人の男が倒れた。名前とスクアーロが同時に敵を倒したのだ。残るはあと三人。
『そろそろいいかな…』
名前はそう言って妖しく笑った。あまりの華麗さにその場にいた敵さえも釘付けになる。
(てめぇら見とれてんじゃねぇ!!!)
内心そんなことを思ったスクアーロだったが、この笑みの裏に潜む恐ろしい考えがあることもわかっていた。
「今回は何するつもりだぁ?」
『作戦B2ってとこね』
名前は胸ポケットから試験管を取り出した。そしてゴム栓を開けて、中の液体を零す。それは白煙を生じ、いくらかが絨毯を濡らす。全てをこぼすことはなく、名前はその試験管に再びゴム栓をした。何をしたかわからない敵の男たちはまた向かってきた。が、次の瞬間。
「「うわぁぁぁぁ!!!」」
男たちに火がついた。
『敵が何したかもわからないのに突っ込んで来るなんてよっぽど負けない自信があったのかな』
名前は口角をあげた。残るは一人。呆気にとられたその一人をスクアーロが切り捨てた。残るはボスだけとなった。
『さっきまでの余裕が嘘みたいね』
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
標的の男は慌てる。
「き、君たち私の下につかないか?勿論それなりの待遇に金は準備する!今までのどんな部下よりもいい待遇を設けよう!」
慌てて命乞いをするこのボスに反吐が出そうだった。
「悪ぃがなぁ…」
スクアーロが剣に着いた血を振って落としながら言った。