シリウスに手を伸ばして

□予選前合宿
1ページ/2ページ

征十郎が男バスのキャプテンになって。そして合宿は始まった。

体力維持は欠かせないので、午前は自然と走り込みになる。やはり走るだけではすごく疲れるが、午後に待っている実践形式を楽しみにどうにか乗り越える。ヘロヘロに疲れたときこそ自分の力が伸びる。だから全力で午前を乗りきった。

午後はついに実践形式。待ちきれなくてシューティングをすれば、テツによくそんな元気ありますね…と真っ青な顔で言われた。

『だって午後からの方楽しみじゃん?』

放ったシュートは綺麗に弧を描きリングをくぐる。

「そろそろ始めるぞ」

征十郎の声にボールを片付け、アップを始めた。


1対1に1対2。個人的に1対2は好きだ。オフェンスの方が人数が不利なのに、二人を抜いたあとにシュートを決めたときの快感というのは本当に言い尽くせない。特に、いつもの皆とやったときなんかは。皆ディフェンスもうまいから、それを抜いたときはウキウキしてドキドキする。

「…アイツすっげー楽しそうだよな」

青峰が言った。

「抜いたときのしてやったり顔が性格を表してるな」

征十郎がそう返す。そんなことを言われているとは知らずに、ライはシュートを決めた。

段々に2対2、3対2と人数を増やしていく。

そして最後はもちろんゲームだ。しかし。

「ゲームは夕飯後だ。各自着替えを済ませたらご飯を食べて体育館だ。7時から始めるぞ」

さすがに疲れた。それでもやっぱり楽しい。ライはさっさと着替えを済ませ、食堂に向かった。

「あ!ライ!」

さつきの声がした。

「今回はさ!部屋ライは一人別にちゃんとしておいたから!マネージャーと一緒だと洗濯とかでマネージャー遅くなると起こしちゃうでしょ?それに皆と一緒もアレだし」

『わかった。ありがとね』

うん!と笑ってじゃまたあとでね!と駆け出すさつきを見送る。一人かー。まぁ楽と言えばそうだけど、なんて思って席についた。

夕飯が終われば、すぐに体育館に行き、ストレッチを始める。征十郎がチームを作っているようだ。

征十郎と敦と涼太、青峰と真ちゃんとテツとライ。そう分かれてあとは三年生が中心に入る。少しアップをしてすぐにゲームは始まった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ