シリウスに手を伸ばして
□予選前合宿
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征十郎が男バスのキャプテンになって。そして合宿は始まった。
体力維持は欠かせないので、午前は自然と走り込みになる。やはり走るだけではすごく疲れるが、午後に待っている実践形式を楽しみにどうにか乗り越える。ヘロヘロに疲れたときこそ自分の力が伸びる。だから全力で午前を乗りきった。
午後はついに実践形式。待ちきれなくてシューティングをすれば、テツによくそんな元気ありますね…と真っ青な顔で言われた。
『だって午後からの方楽しみじゃん?』
放ったシュートは綺麗に弧を描きリングをくぐる。
「そろそろ始めるぞ」
征十郎の声にボールを片付け、アップを始めた。
1対1に1対2。個人的に1対2は好きだ。オフェンスの方が人数が不利なのに、二人を抜いたあとにシュートを決めたときの快感というのは本当に言い尽くせない。特に、いつもの皆とやったときなんかは。皆ディフェンスもうまいから、それを抜いたときはウキウキしてドキドキする。
「…アイツすっげー楽しそうだよな」
青峰が言った。
「抜いたときのしてやったり顔が性格を表してるな」
征十郎がそう返す。そんなことを言われているとは知らずに、ライはシュートを決めた。
段々に2対2、3対2と人数を増やしていく。
そして最後はもちろんゲームだ。しかし。
「ゲームは夕飯後だ。各自着替えを済ませたらご飯を食べて体育館だ。7時から始めるぞ」
さすがに疲れた。それでもやっぱり楽しい。ライはさっさと着替えを済ませ、食堂に向かった。
「あ!ライ!」
さつきの声がした。
「今回はさ!部屋ライは一人別にちゃんとしておいたから!マネージャーと一緒だと洗濯とかでマネージャー遅くなると起こしちゃうでしょ?それに皆と一緒もアレだし」
『わかった。ありがとね』
うん!と笑ってじゃまたあとでね!と駆け出すさつきを見送る。一人かー。まぁ楽と言えばそうだけど、なんて思って席についた。
夕飯が終われば、すぐに体育館に行き、ストレッチを始める。征十郎がチームを作っているようだ。
征十郎と敦と涼太、青峰と真ちゃんとテツとライ。そう分かれてあとは三年生が中心に入る。少しアップをしてすぐにゲームは始まった。