シリウスに手を伸ばして
□デート
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『青峰はいつだって私の傍にいてくれたでしょ。だから私のこときっとすごく知ってると思うよ。それに青峰と知り合って半年とちょっととかなのにさ。青峰といると私も知らない私を知っているような気持ちになるんだ』
それは本心だ。互いに距離をあけてしまったときもあった。でも結局青峰だったのだ。私を左右させたのは。今の私がこうあるのはきっと青峰だけではないだろうけど、青峰のおかげなところが大きいのは本当だと思う。それに私にとっては好きな人である前にいいライバルだったのだ。まぁそれは今でもその位置にいるのだが。何にしたって青峰の存在は十分に大きい。
「…んだよそれ」
嬉しくねぇわけねぇだろ。でもそれを素直に伝えられるほど青峰は大人じゃない。
『でもそれはきっとこれからもそうであると思うよ。この関係が続く限りは』
ライがそう言って笑うもんだから、青峰は自身の手の中のライの手をぎゅっと握った。ライはへへ、と少し照れたように笑った。そんな顔他のやつらに見せるなよ、と思った。俺だけでいい。ライの傍にいるのはずっと俺だったらいい。そう思う。
「好きな食べ物は?」
『おいしいもの』
「メニューとかで答えろよ」
『嫌いなものはあまりないから基本まずくなければ何でも食べるよ。青峰は?』
「てりやきバーガー」
『好きそう!』
そう言ってライは笑う。
「好きな色は?」
『青峰の青』
「はぁ?」
『ウソ』
「ウソかよ!」
『青は普通に好きだけどね。落ち着くから』
「俺も青は嫌いじゃねぇけどな」
『服とか見てるとモノクロな感じ多いよね。白とか黒とか』
別に学校だってどこだってできるような会話をして。でも自分たちのはじめはこれでいい。そう思った。
「好きな動物は?」
『んー。小さいものは可愛いけどうるさいのは嫌かな。うるさい小型犬なら静かな大型犬が好き』
「俺は虫の方好きかもな」
『虫は好きじゃない』
「お前でっけーカブトムシとかザリガニとかセミとか見たことあんのかよ。すげー感動するぞ」
『嫌だよ気持ち悪い』
そう言うと、今年の夏見せてやるなんて言うから嫌だって言った。それでも見せると言ってきかない青峰。まぁ…そこまで極端に嫌いって訳ではないんだけどね。