シリウスに手を伸ばして
□ホワイトデー
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ライと青峰が思いを通わせて少したって。世の中は完全にホワイトデーのムードである。ましてや春季大会が目前に迫っている以上あまりそのようなことにうつつを抜かしている暇はないのだが。
「ライさんは何が好きなんでしょう?」
黒子の声。ただいま、ライは女バスの練習にいて桃井は監督に呼ばれているため、いるのは男子だけというものすごいむさ苦しい状態である。
「桃井は何が好きなんだ?」
征十郎も続く。
春期大会が目前とはいえ、男バスのいつものみんなにもホワイトデーにはお返しをしなきゃという考えが残っていたようで。現在に至るのである。
「さつきは甘いものなら何でも喜ぶんじゃねぇーか?」
青峰が言った。さすが幼馴染みと言ったところか。
「ライも甘いものは嫌いじゃないっスよ!」
黄瀬も言う。昔から女子からたくさんチョコはもらっていたが、ライにお返しは欠かさずやってきただけはある。
「個人で買うの〜?皆で大きく買うの?」
紫原が言う。割と真面目に相談しあっているようだ。
「皆で買いに行くのもバレるからな。個人でそれぞれ準備でいいんじゃないか?」
征十郎が言った。
すると。
『お願いします』
ライが女バスの練習を終えて体育館に来た。意見はまとまったし、それぞれボールを持って動き始める。
『珍しいね。皆で話してるなんて』
ライが言った。
「まあな」
「お疲れ様です」
征十郎がそう返して、テツが頭を下げた。
私は先ほど脱いだばかりのバッシュをまた出して履く。そしてボールを持って青峰のもとへ。
『1on1やろ?』
そう言うと、シューティングしていた青峰はオウ、と笑った。
青峰は帰ってからボーッと考えてみる。
何だかんだってしばらく一緒にいるけどライが何好きなのかとか考えたことなかったなーと思った。俺の中でライとしていて一番楽しいのはやっぱりバスケだし、今の状況は想いを確かめる前と何か変わったかと言われれば本当に何も変わっていなかった。