シリウスに手を伸ばして
□すき
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「バカだな、お前」
青峰がそう言った。
「俺に気遣う余裕なんかねぇクセに」
青峰が頬に触れる。心臓が、うるさい。
『あおみ「俺が好きなのはお前だよ」
え?
口からその音はこぼれたのだろうか。それさえもわからなかった。それほど、その言葉はあまりに衝撃的だったから。
『う、そ…』
「こんな嘘つくわけねぇだろ」
少し照れ臭そうに青峰の目が泳ぐ。心臓の早鐘はどんなときよりもすごい勢いで。私は思わず笑ってしまった。
『……ふ、決まんないね。目が泳いじゃって』
「な、うっせーな!」
顔を真っ赤にして言う青峰。でもきっと私も顔が真っ赤に染まっているのだろう。私は青峰の胸に頭を預ける。
『それなら、私も早く青峰の気持ちに気づけば良かった』
今まで少し距離をおいてしまった分、この気持ちを青峰にしっかり伝えようかなって思って。
『好きだよ』
青峰の体が一瞬強ばって。
「まじかよ!?」
『うん』
青峰ははぁーっと大きなため息をついた。
『何そのため息』
私がそう尋ねると。
「なら、お前に早く告ればよかったって思ったんだよ」
私はその言葉に笑う。
「傷つけて悪かった。でももう絶対泣かせねーから」
『うん』
「もう離してやんねーよ」
『いいよ』
私がそう言うと、青峰の腕が背に回って力強く抱き締められて。柄にもなく、ああ。これが幸せなんだななんて思ったらまた涙が出そうになって。それをこらえるように私も青峰の背に回る腕の力を強くした。
そんな二人をよそに予鈴が鳴って。そろそろ行こうかと二人は手を握って教室を出た。