シリウスに手を伸ばして
□GIRLS TALK TIME
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暦は進み、二月に入った。一ヶ月後に控えた春季大会に向けて男女バス共、より気合いが入るこの時期のこと。昼休みにさつきがうちのクラスに遊びに来た。
「ライー!!」
さつきが思いきり私に抱きついた。昼ご飯直後なため、ライは思わず色々吐き出しそうになったが、どうにか耐える。
『どうしたの?昼休みにくるなんて珍しいね』
そう言うと、さつきはちょっと恥ずかしそうにライにちょっと話聞きたくて!!と言った。わざわざここに来たのだから、恐らく皆に聞かれたくない事柄なのだろう。
『うん。もし何なら廊下で話す?』
教室で2人で話していれば、恐らくテツも仲間入りしかねない。さつきは、うん!と返事をして私を廊下に連れ出した。
「えっとね、もう2月でしょ?」
『うん、そうだね』
「ライはバレンタインのチョコ何作るのかなーって思って!それ聞きに来たの!!」
さつきが笑顔が言った。ああ、バレンタイン…。忘れてたよ、すっかり。
『んー…まだ考えてなかったけど』
「本当?私トリュフ作ろうと思うんだけどさ、大丈夫?」
『え、あ、うん。いいんじゃない?』
「なら良かった!!ライは誰にあげるの?やっぱり青峰君?」
…何でさつきにまで…。私は思わず頭を抱えそうになった。でも真ちゃんですら気がつくのだ。仕方ないのかもしれない。
『まだ本当に何も考えてないんだ』
だって忘れてたんだもの。
「そうなんだ。私は一応いつもの皆にはあげるつもりなんだけどさ!勿論ライもね!」
さつきが笑う。が、しかし。私はちょっと待てよ、と事の重大さに気づく。
『さつきが作るの?チョコ』
「うん!もちろん!男は胃で落とすんだもんね!!」
テツ君待っててね!と頬を赤らめる仕草は完全な女の子なんだが、まずい。
『さつき一人で作るの?』
「去年は青峰君に作るって言ったら、俺がいるとこで作れって言われたんだけど、今年は言わないで作るつもりだから…多分一人かな?」