シリウスに手を伸ばして
□話してみる
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「それではだめなのだよ」
真ちゃんがまたうった。シュートは危なげなく入った。
「俺は人事を尽くす。それだけだ」
『…真ちゃんらしいね』
私はバッシュの紐を結び終え、ボールを指先でくるくると回してそのままドリブルをつき始めた。そこからトップスピードでバックシュートした。ボールはリングをくぐる。
緑間はその様子を見て、ちょっとだけ微笑む。そして何も見ていなかったかのように自分のシューティングに戻った。
青峰はその日、いつものストバスのコートにいた。勉強なんかする気もねーし、十分寝たならあとはバスケするしかねーだろ。すると、背後から聞き慣れた声がした。
「青峰」
「ん?」
ダンクを決めたあと、リングにぶら下がりながら声の方を向くと、赤司がいた。
「何だよ赤司。お前がここに来るなんて珍しいな」
「桃井から聞いてな。少しお前と話がしたい」
青峰は着地して、赤司の床まで歩いた。
「青峰、お前ライをどう思う?」
「…どういう意味だ?」
ただでさえこの前アイツに関することで少し悩んだ後なんだ。またそんな話をされるのはあまり気持ちのいいことではない。
「お前が長期戦を狙っているならいい。ただ、」
赤司が言葉を切る。
「お前だけじゃないということを忘れるな」
赤司はまっすぐに俺の目を見て言った。
「…は?何言ってんだよ」
「とぼけるな」
赤司が言い放った。
「お前はわかってるはずだ。目をそらそうとしてるだけだろう」
俺は何かが突き刺さったような気持ちになった。まっすぐな言葉に何も返せない。
「わかんねーよ。何が言いてぇのか」
そう言うと、赤司が俺の手にあるボールをカットした。
「ならば言わせてもらう」
そのまま赤司はドリブルし始めた。俺にディフェンスしろと言いたげな目。俺はその目を見て、逆らうことは出来なかった。
「知らないとでも思っていたか?」
赤司が俺を翻弄するかのようにドリブルをついた。俺は話を聞きながらも抜かれないようにディフェンスする。