シリウスに手を伸ばして
□初詣
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「青峰っちの寝坊なんていつものことじゃないっスか」
涼太が言った。
しばらく待つと、口喧嘩しながら青峰とさつきが来た。
「皆ごめんね!」
さつきが謝る。
「桃井のせいではないだろう」
真ちゃんが言った。青峰はわりぃな、とだけ言った。
私は今両手で顔を覆った。
青峰…嘘だって思うくらい和服かっこいい。予想以上だ。こんなに似合うなんて思ってないよ…。
「ライ…?大丈夫か?」
征十郎の声がした。
『はい、大丈夫です』
どうにか返事をした。その後一行は近所の神社を目指して歩き出した。私は青峰の隣を歩く。
『新年早々寝坊なんてさすが青峰だね』
「うるせぇな。だいたい朝早すぎだろ」
青峰は大きく欠伸をした。気づいてないんだろうな、私がこんなに緊張してるなんて。
「でもお前さ、髪短いから和服似合わないって言ってたよな」
『え?あ、うん』
そりゃあさつきみたいに長ければアップにしたりするのも可愛らしいなと思う。
「お前も十分和服似合ってるな」
『〜〜っ!青峰に言われたくない!!』
何でこんな時にそんなこと言うんだ。私はきっと真っ赤であろう自分の顔が少しでも熱が引くようパタパタと手で扇いだ。
初詣の期間なだけあり、人もたくさんいたし、屋台もあった。
「綿あめ食べたーい」
「テツ君!リンゴ飴食べようよ!」
「おいしそうですね」
数人が目を輝かせる。でも最初はやっぱりお参りだ。列に並んで順番を待つ。
「ライは何を願うんだ?」
征十郎が言った。
『全中連覇』
「ライらしいな」
征十郎が笑った。
「あれ?でもお願い事って言ったら叶わなくなるって聞いたことありますよ」
テツが言った。
「ライ言っちゃったじゃないスか!」
涼太が言った。でも私は焦る涼太を見て笑った。
『なら、叶えてみせるよ。この手でね』
私は笑う。
「…そっちの方がお前らしいな」
青峰が言った。涼太もその意見に頷いた。