シリウスに手を伸ばして
□気に入らない
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「でも確かにキセキの世代って皆かっこいいよね」
「男バスモテるもんねー」
「黄瀬君モデルだし、超かっこいいよね」
「えー赤司君でしょ」
「私は青峰君が一番タイプだけどな」
他の皆が男バスの品定めに走り始める。別に皆普通だって、と思っていた。が、たった一人の名前が出てきただけで平静を保てなくなった。手に持っていたスプレーが落ちる。何でここまで動揺する必要があるのか、自分はちゃんとわかってる。
やっぱりそうだろうとは思ってたけど、皆モテるんだな。
たしかに皆バスケも上手いし、顔も整ってるし身長も大きいし。モテる要素はたくさんある。今まであまり私が意識しなかっただけで、青峰だって…。
「ライ?」
『あ、ごめん。ありがとう』
拾ってもらったスプレーをダンボールに入れた。ああ、私らしくない。
そりゃ私だって中学入ってからだけで手じゃ足りないくらいには告白されてる。全部お断りしてきたけど。
でもやっぱりあの人が可愛い子とかに呼び出されてるのかなって考えたら気にくわなくて。
青峰が誰とも付き合ってないこともわかってるし、私がしてるのはらしくない嫉妬なのも自覚済みだ。それでも嫌なものは嫌だ。
やっとの思いで女バスの体育館の大掃除は終わった。私はすぐに女バスより明らかに大変そうな男バスの体育館に向かった。
掃除中なため、入り口は全開になっていた。体育館に入ると、箒をまたぐ涼太がいた。
「ライー!見て見てっス!魔女の宅急b『掃除しろ』
絶対こういう奴がいると思ったんだよ。男バスには。
「敦、お菓子を食べながら掃除をするな。新しく食べくずが出てる」
「あれ?ごめーん」
と言うか、ほぼ全く進んでない。
『…どこ手伝えばいい?』
「あー、なら倉庫を頼む」
征十郎が言った。倉庫に行けば、真ちゃんと青峰がいた。
『手伝いに来たんだけど進んでるー?』
倉庫に入ると、青峰に怒鳴る真ちゃんと怒鳴られてるけどマットに寝転がったままの青峰がいた。しかも中はすごく汚い。
『ちょっと口喧嘩してないで手を動かしてよ』