シリウスに手を伸ばして
□気に入らない
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帝光中バスケ部最後の練習の日。この日は男女バスとも午前練で午後からは体育館の大掃除となる。私はとりあえず女バスの方の体育館を掃除していた。男バスの方がおそらく時間がかかるだろうという、確信に近い予想が出来たからだ。
「次は部室ねー」
部長が声をかける。それぞれが返事をして、掃除をこなしている。部室の後は玄関と倉庫を手分けしてやっておしまいだ。
私は倉庫側をやっていた。
「ライー、結構スプレーいっぱいあるんだけど…」
『ダンボールとかにまとめておけばいいんじゃない?』
「はーい」
全部出せるものは全て外に一度出してから要・不要で分けていく。
「何かさー、ライ男バスの練習出るようになってから雰囲気丸くなったよね」
『え?そう?』
「あ、それたしかに私も思ったー。何て言うか話しやすくなったよね」
「何?恋でもしたの?」
『してないし。私的には変わったつもりはないんだけどねー』
私が変わった?
私はちょっと笑った。確かに安心できる場所はできたし、否定はしたが好きな人もできた。
でもやっぱり変わったつもりはさらさらなかったのだ。
「この後男バスの体育館も行くの?」
『うん。あそこもかなりの頻度で使ったからね』
「さすがキセキの世代唯一の女子。うちらとはやっぱり気持ちが違うのかもね」
『キセキの世代?』
私が首を傾げると、他の女バスの皆が、ん?といった顔になった。
「まさか、ライ知らないの?」
『何が?』
「ライがいつも一緒にいる人たちってキセキの世代って言われて全国で超有名なんだよ!?」
『そうなの?』
「アンタ月バス読んでないわけ!?」
『いや、帝光は男バスも女バスも知ってるから見なくていいやーって…』
「しかもライもそのキセキの世代の一人に数えられてるんだよ!?」
『え?いつの間に?』
「キセキの世代目当てに月バス買う人だっているのに…」
何人かがため息をついた。