シリウスに手を伸ばして

□練習試合
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昼休み、私に征十郎から思いがけない爆弾が落とされた。

「ライも試合出すつもりだからな」

『…マジで?』

私はきょとんとした。女子だし相手は他校だし無理だと思った、私が征十郎にそう言うと、征十郎は表情を崩さず答える。

「お前が女子だとかそんな今更なことを気にするな。もし相手が文句を言ってくるようならいつも通りプレー見せつけてやればいいだけの話だろう」

あまりに当たり前のように言う征十郎にぽかんとしたが、私はそっか、と脱力したように呟いた。

「最初はなんか言われるかもしんねーけど、お前のプレー見たらもう何も言えねぇよ」

青峰がカレーの福神漬けを食べながら言った。まぁ、たしかに負ける気なんて更々ないからね。

『…そうだね。それもそうだわ』

でも、嬉しい誤算である。まさか他校の男子とやり合えるとは思ってもなかった。皆と同じくらい上手い人はいるのかな、と思ったら楽しみな気持ちがどんどん大きくなった。


食べ終わればすぐに体育館に戻り、練習試合の準備をした。
ストレッチしながら、お昼が消化されるのを待つ。しばらくすれば、昭栄中のお出ましだ。挨拶をして、あっちの選手の様子を見る。体格は帝光の方が有利だと思われる。ただ、月バスで見たことがある顔がいた。全国でも有名な好フォワードらしい。

『まぁ楽しめそうな相手だね』

「実際力にそこまで差はないと思う」

征十郎が答えた。ああ、楽しくなってきた。

30分強くらいアップをして、ゲームは始まった。スタメンは征十郎、敦、青峰、真ちゃん、涼太だ。

「黒子は体冷やすなよ。ライは後半辺りから出そうと思ってる」

「わかりました」

『了解』

ブザーが鳴り、征十郎をはじめとして、皆がコートに入る。いつも自分もあちら側にいるので、こちら側からのスタートはもしかしたらミニバス以来かもしれない。審判の笛が鳴り、両チームが頭を下げた。

「お願いします!」

ゲームスタートだ。

ジャンプボールは敦が弾いて征十郎の手に収まる。
涼太や青峰がゴールに走るが、昭栄の切り替えも早い。
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