シリウスに手を伸ばして

□合宿二日目
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奇数になってしまったため、ペアはずれていく。最初は私は征十郎とだった。相手は涼太と真ちゃん。
スキル的には私たちの方が上だと思われるが、問題は身長差だ。このメニューはどちらかが先にシュートを二本決めるまで他の人との交代はない。それで勝ち抜けでやる。
最初は私たちがボールを持つ。

征十郎がボール出しをする。先手必勝!そんなことを思いながら私は一目散に私につく涼太を抜いて走った。

『征十郎!』

「ライ、まずは一本だ」

征十郎が高めのパスを出した。涼太も着いてくるが、ライの全力疾走は普通の男子より速い。楽に追いつけるものではない。涼太はそのボールをカットしようとするが、届かない。征十郎からのパスは私の手に届く。私はそのままレイアップを決めた。まず、一本目。

真ちゃんは不機嫌そうに眼鏡を上げて涼太を見た。

「すみませんっス!」

「…貴様…一本返せなければ死ね」

真ちゃんの暴言に涼太が青ざめた。
征十郎が涼太に、私が真ちゃんについた。これはフロントコートまで運ばれてしまえば、私たちのチームはミスマッチで不利なため、3Pラインあたりで真ちゃんにボールが入れば3Pで点を入れられてしまう。
パスは上を通しにくいよう、手を挙げてディフェンスする。真ちゃんの集中力は心地よい緊張感を伝える。

『運ばせないよ』

「フン、無理を言うな」

真ちゃんが涼太にパスしようとしたその時。征十郎が涼太のもとに来たパスをカットした。真ちゃんがぐっと不機嫌になったのがわかった。

『征十郎!』

私は征十郎に近寄りパスをもらう。さて、問題はここからだ。身長差があるからゴール下で責めるのは正直無茶があるし、そう簡単にシュートは出来ない。しかも外せばカウンターで返されることもある。どうしようかな、そう思った時、一つの案が私の中で浮かんだ。

『征十郎!』

征十郎を呼び、近くまで来させる。手渡しパスをしながら私は耳打ちした。

「…なら、後は任せたぞ」

『もちろん』
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