シリウスに手を伸ばして
□合宿一日目
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「オォーイ」
「ディフェンス!!」
「リバウンド!」
体育館に声が響く。二日前の雰囲気とは打って変わった空気。
『征十郎!』
「青峰」
私からのパスを征十郎がつなぎ、青峰へのアシストでシュートが決まる。
帝光中第一体育館。そこでは帝光中バスケ部一軍の強化合宿が行われていた。頬を伝い首筋を通ってTシャツに染み込む汗。拭っても拭っても止まらない。さすがは、征十郎といったとこだろうか。初日の午前からこのメニューとはこれから先の三日間、倒れる人が出ないか心配なくらいである。実際テツあたりが心配だったりする。
「三分休憩!!」
征十郎の声が聞こえると、皆ドリンクやタオルに向かって歩き出す。
まだいつものメニューのアップ段階なのだが、なんせ今日はアップさえも三倍。3メンまででさえもいつもの三倍は疲れるのである。
「ライー?飲んだー?」
さつきの声が聞こえた。
『まだ。ごめん、ありがとう』
さつきが、はい!とドリンクとタオルを手渡してくれた。止まらない汗を拭いて、温まった身体にドリンクが染み渡るようだった。
私はさつきにドリンクとタオルを預けて、シューティングに向かった。
『次のメニューは?』
先にシューティングをしていた征十郎に尋ねた。
「オールコートの2on2」
『また走るのか…』
「まだ午前だからな。走るぞまだまだ」
征十郎のしごき方は相当きつい。私が女子だからとかそんなの関係なくするほどに。
短い休憩時間は終わりを告げ、再び私たちは地獄の走り込みを始めたのだった。
昼休み。昼食も終えて、しばしの休み時間だ。午前練だけでパンパンにはってしまった脚をマッサージしたりストレッチしたりして疲れを落とそうとする。
「午後はディフェンス練習がメインだからな。各自怪我しないようにケアは怠るなよ」
征十郎が皆に声をかけた。ディフェンス練習か…。結局辛いことには変わらないのだろう。