シリウスに手を伸ばして

□おかいもの
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涼太に言われて初めて私はそのことに気づいた。

絶対顔赤くなっちゃう…。

『てか、それって私も見られるってことだよね?何着ていこう…!?』

涼太はため息をついた。

「ライが一人の男にこんなになるなんて…」

思いもしなかったっス。そう涼太は心の中で続けた。

『涼太モデルでしょ!?私何着たらいいか一緒に考えてよ』

「えー、でもライのコーデ結構オシャレだと思うんスけど」

とか言われても最善を尽くして損はない。

『人事を尽くすのだよ、だよ涼太。お願い』

両手をあわせて頼めば、涼太は折れてくれた。

「仕方ないっスねー。ただ、緑間っちの真似は本人の前でやったら怒られるっスよ」

涼太が言った。

『だろうね。まぁ、そう言うところが面白くて好きだけど』

ライはいたずらに笑う。涼太は物好きな幼なじみに苦笑を浮かべた。



その日は結局、涼太がうちでご飯を食べて行って、一緒に服を選んでもらって、明日への準備は完了した。









翌朝。午前10:00。ライと涼太は待ち合わせ場所にいた。もちろん、今日行動を共にする二人を待っていたのだが。
ライの携帯が鳴る。さつきからのメールだった。

『あー…涼太。さつきと青峰ちょっと遅れるって』

青峰が寝坊したらしい。

「了解っス」

青峰っちっスよね?と聞いてくるあたり、おおかた予想はついてるらしい。その予想がまぁ見事大当たりなのだが。

私はさつきに返信して、携帯をポケットにしまった。涼太と二人並んで立って待つ。別に気まずくも何ともない沈黙を先に破ったのは涼太だった。

「そういやライって結局青峰っちのことどう思ってるんスか?」

涼太の言葉に私は少し慌てる。
私の中でさえもまだ結果は出ていなかった。

『私もまだよくわからないんだ』

涼太にそう返すと、涼太はちょっと驚いた顔をしたが、すぐにそうスか、と返した。この時涼太が、そんな顔真っ赤にしてよくわからないなんてよく言えたもんだと思ったのは本人しか知らない。
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