シリウスに手を伸ばして
□もやもや
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あれから、テストもあけた。そしてどうにか男女バスケ部の一軍(マネージャー含む)全員の冬休みの補習から逃げ切りが現実となった。
『涼太は私が一応夜遅くまで見てやったからね』
「本当ライが幼なじみでよかったっス」
「青峰はどうやって逃げ切ったんだ?」
征十郎が尋ねた。
「実力に決まってんだr「冗談もほどほどにしろ、バカめ」
青峰は真ちゃん特製コロコロ鉛筆によりマークで答えるところの正答率は90%を超えるという奇跡の数字を叩き出した。
そして、今日。
『お願いします』
体育館に挨拶して私は入った。別に毎日のように来てはいた体育館。でも、今日は訳が違う。
「おかえりなさい!ライ」
「待ってたよ」
「ライちんやっと帰ってきた〜」
そう、今日は私の男バスの練習に復帰する初日だ。
『何か毎日来てたのに新鮮な感じする』
私はそう言って笑った。同じクラスのテツと一緒に体育館まで来た流れで部室に荷物を置きに行った。
「おい、ライ」
青峰が呼んだ。
『何?』
「今日の1on1は全部相手俺にしろ」
『…望むとこだね』
これがストレッチの時の会話。そしていざ1on1の時間になると…。
「あーっ、クッソ!」
『上からとめられるのはなぁ…。あー悔しい』
ほぼ互角の勝負。どちらも抜いたり抜かれたり、とめたりとめられたりの繰り返しだ。
いつものメンバーでさえ、久しぶりに見たライの本気の1on1。皆その質の上昇に驚いた。
そうじゃない奴らはなおさらだ。
やっと練習が終わった頃には汗だくだった。今はもう冬だというのに、水道で髪を洗い、汗を流した。
『うわー寒い…』
汗を流すのは気持ちいいが、やっぱりもう寒い。私は急いでタオルで頭を拭いて、部室へ向かった。
部室に入ると、着替えながら話す征十郎の声が聞こえた。
「冬休み一軍だけ合宿するからな」
ナチュラルに爆弾を投下され、涼太と青峰の驚く声が聞こえた。
私は風邪を引かないようすぐに着替えて頭を拭いた。