シリウスに手を伸ばして
□もやもや
2ページ/6ページ
帰り支度が終わった後、体育館にはもう皆が待っていた。
『ごめん。待たせて』
「大丈夫ですよ」
テツが返した。
「ライ、冬休みの合宿の話聞こえてたか?」
『ああ、うん。大変だね、男バス』
「そのことなんだが、もしライさえ良ければぜひライにも参加してもらいたいと思ってる」
征十郎がそう言った。
『…いいの?私参加しても?』
「ああ。女バスの監督にはもう話は通してある」
なんて仕事の早いことだろう。
『なら、行くよ』
次の大会は春季大会だ。今はきっと体づくり。男バスと同じメニューとなれば、だいぶ鍛えられるだろう。
「決まりだな」
征十郎が満足そうに笑った。私たちはそのまま体育館を出た。
最近、というかこの前から。何だか変な気がする。
何がと言われればわからない。
ただ、何だか青峰のことを見ると、胸の奥で何かがクシャクシャってなる気がした。しゃべってる時はいつもと変わらないし、何か支障があったりするわけじゃない。
でもこの胸の奥の違和感の正体がわからないのだった。
暦は師走となっていた。初めて皆と会ったのは夏の終わりかけ。秋の入りかけとも言うかもしれない。そのくらいから早くも時がたっていた。
そして冬合宿の詳細も明らかになった。
「この紙に書いてあるように、日時は22日から24日まで。二泊三日だ。宿泊場所は学校の合宿所。一日くらいは日程が合えば他校との練習試合を入れようかとも思っている」
征十郎の言葉通りのことが渡された手紙に書かれている。
「あと基本的に三部練だからな。気合い入れてこい」
征十郎の言葉に何人かが顔をひきつらせた。
三部練、つまり朝と昼と夜に練習があるということだ。それは気合いが入らずに入られない。
そして、その日の帰りのことだった。
「赤司っちー!クリスマスパーティーやるっスよ!」
「却下だ。今年はイブに合宿がかぶってるし合宿の次の日は休養をとった方いいだろ」
征十郎の非の打ち所がない言葉に涼太はがっかりしていた。