シリウスに手を伸ばして
□のんびり2
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結局、そこで私たちは解散となった。さつきはテツと一緒に帰り、涼太はまたファンに捕まり、私は涼太に待っててって言われたが、帰ると言い張った。でも泣きそうになってる涼太を見て、仕方なく待ってやることにした。青峰と真ちゃんを巻き込んで。
「どうして俺まで黄瀬を待たなければならないのだよ」
真ちゃんが言った。
『なら、私を待ってると思ってよ』
「どうして俺まで黄瀬を待たなければならないのだよ」
青峰が言った。真ちゃんが真似をするな!と怒った。
『だから私を待ってると思ってよ。てか私だって帰りたいし』
「なら帰るか」
青峰が歩き出したので、その鞄のひもを掴んだ。
『だからだめって言ってるじゃん。てか涼太と言ってたんだけど、面白いもの見れるかもよ?』
さつきの片想いが少しでも報われていて欲しいと思う。二人の進展を見られないか、と涼太と話していたのだ。
「面白いものォ?」
青峰が言った。
「なんだそれは」
真ちゃんも言った。
『それは見てからのお楽しみでしょ?』
怪しく笑うライに、緑間は頬を染めた。
『ヒントは…青峰、』
「俺かよ!?」
『違うし。ただ、そろそろ幼なじみ離れしといた方いいんじゃないの?』
私の言葉に、青峰は面白いものに気づいたようだ。真ちゃんは訳が分からないと言った顔。
「いやー…それはねぇだろ」
『何で?』
「だって…テツだぞ」
『う…』
そう言われると痛い。そうだ。さつきに問題はない。問題は相手のテツなのだ。
『でも二人きりの帰り道だし…なんか起きないかなー』
「期待するだけ無駄だと思うぜ」
『そこで、君らにも質問しようか』
私が言った。二人の目が丸くなった。
『二人とも好きな人とかいないの?』
「はぁ?」
「何を言っているのだよ」
青峰と真ちゃんは馬鹿らしいと言いたげな目をしている。
「俺にはマイちゃんがいれば十分だ」
『さつきも十分大きいのに』
「さつきはそんなんじゃねーよ」
『じゃ真ちゃんは?てか好きな人いたことあるの?』
私がそう尋ねると、フンと言って、眼鏡のブリッジを押し上げた。
「俺にはそんなことにうつつを抜かしている暇はない」