シリウスに手を伸ばして
□みんなで帰ろう
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ユニフォームから着替え、監督の話を聞き、ようやく帰り支度などが終わって男バスの試合を見れる状態になったのは、3Q目中盤からだった。
スコアは85−78。帝光の7点のリードだ。すぐに追いつかれそうな点差ではあるが、皆が落ち着いてプレーをしていて危なげはない。征十郎が指示を出して、周りが動く。私が最初に見たシュートは涼太のシュート。いつも一緒にいるからわからないけど、本当に着実に上手くなってる。涼太が決めれば、青峰とハイタッチ。
途中からテツの投入で点差はまた開く。そうやって青峰や真ちゃんもいつも通りにバスケをして、試合終了時のスコアは105−90。帝光中は何度目かはわからない男女アベック優勝を果たした。私は試合を見ていたところからフロアに向かった。これからは閉会式だ。
いつも通り女バスの部長が賞状をもらい、私はトロフィーを受け取った。男バスは部長が賞状、征十郎がトロフィーを持った。
そして各自身辺整理をして解散となった。
勿論私たちはいつも通り一緒に帰る。
入口に向かえば、そこには何人かもう見知った顔が待っていた。
「遅いぞ」
『私より遅い人の方多いじゃん』
私に声をかけたのは真ちゃんで、あとは涼太がいた。
『とりあえずお疲れ』
私がそう言うと、涼太は素直に笑い、真ちゃんはフン、と鼻で笑う。
『てか真ちゃん!私の最後のシュートどう思った!?』
ヘロヘロなりにベストのシュートは撃ったんだけど、と言えば、真ちゃんはいつもと同じテーピングが巻かれた左手で眼鏡を上げた。
「最初よりはマシだ。ただお前は人事を尽くしてはいないのだよ」
つまり俺とは比較も出来ん、なんて強気の態度に私は思わず笑みがこぼれた。
涼太に目をやれば、涼太が笑う。
「緑間っち褒めてたっスよ」
と涼太が漏らせば、真ちゃんが動揺しながら怒る。
「余計なことを言うな!」
真ちゃんが涼太に一発くらわせる。涼太の奇声が聞こえた後、皆が待ち合わせ場所にきた。
「ライー!」
さつきが飛びついてくる。