シリウスに手を伸ばして
□みんなで帰ろう
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『また帰ってくるよ。ある程度体力とかついたら』
私がそう言えば青峰は頷く。
『帰りも皆と一緒に帰るし「待っててやるよ」
青峰が私の言葉を遮った。
「お前が帰ってくるまで俺もお前に負けねぇよう頑張る。お前ともう一回マジでやるその時までな。だから別々に頑張ることにはなるかもしんねーけど、それは独りってことじゃねーだろ。俺がこっちにいるんだ。お前が上手くなってももう独りはねぇよ」
私を見ながら青峰が言った。私は呆気にとられた。
『…ありがとう』
青峰は私の心を見透かしていた。私が女バスに一時専念すると思い切れなかった理由はそれだった。独りになるのが怖かったんだ。
こんな鈍そうな奴に見透かされるとはなぁ、なんて思った。
でも青峰はいつだって私が欲しい言葉をくれる。だからか、青峰と一緒にいるのはすごく安心する。
「ライ〜っ!帰るっスよ!!」
涼太の声が聞こえた。分かれ道に入ったのだ。
皆とお別れする。
『また明日〜』
「ああ」
「バイバーイ!」
私は涼太にも先ほど青峰に話したことを話してみた。
『涼太はどう思う?』
「ちょっと難しい話っスね。けど、俺も青峰っちと言えることはあんま変わんないっスよ」
『やっぱそうだよね』
「ただ、」
涼太がわざとらしく言葉を切る。
「幼なじみとして唯一の俺が言えることもあるっス」
いつもの涼太に比べると随分回りくどい言い方をする今日の涼太。
『何?』
私が尋ねると、涼太は笑顔で私にこう言った。
「たとえここで俺が止めたってライは自分で決めたことならやろうとするんじゃないっスか?」
涼太の言葉に、私は目を見開いた。
『…そうだね』
「どうせ頑固なライだから俺なんかが止められないのはわかってるし、それに特に止める理由もないっスよ」
だから、と涼太が言葉を止めた。
「ライはライのやりたいようにバスケすればいいんじゃないっスか?」