シリウスに手を伸ばして

□みんなで帰ろう
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「すごかったよ、試合!」

そう言ったさつきにありがとう、と返した。

「さて、今日は遅くなってしまったし早く帰るか」

征十郎がそう言ったので、皆帰る方向に歩き出す。

前には真ちゃんと征十郎、敦。その後ろにさつきとテツ、涼太。最後尾に私と青峰が並んだ。

『お疲れ』

私がそう青峰に言えば、おう、と返事が返ってくる。

「お前もな」

青峰の方を見れば、握り拳が私の方に出されていた。

『…じゃんけん?』

「馬鹿か!違ぇよ!」

青峰の行動に疑問が生まれる。

じゃあ何だよ。てか青峰より馬鹿じゃないし。

「同じように拳出せ」

青峰に言われた通り、私は握り拳を青峰に向けた。すると二人の大きな拳と小さな拳が触れ合った。
私は青峰の顔を見た。

「ハイタッチみてぇなもんだろ!」

と少しばつが悪そうに青峰が言う。
そんな青峰を見て私はつい笑ってしまった。

『私ね、』

そう言えば、青峰が相づちを打つ。

『久しぶりにあんなにヘトヘトになる試合した』

「結構ヤバかったもんな、お前」

青峰が言う。

『うん。本当、延長はちょっと無理だわって思った。だからね』

私は大きめに息を吸う。

『しばらく男バスの練習抜けようかなって今考えてんの』

青峰の顔が驚きに染まる。

『いや、まだ考えてるだけだよ?でも美奈と試合して少し考えたの』

今まで手を抜いて女バスの練習を本気でやってこなかった。それが今日の試合につながったと思う。私は自分の力を過信していたのかもしれない。

『だから、もっと体力つけて少しやり方を直そうかなって思うんだ』

ただ身勝手なお願いだとは思う。だから征十郎や女バスの皆、監督たちにも一応話はしなければならない。

「ま、いいんじゃねーの?」

青峰はそう言った。

「赤司はお前の望みなら多分叶えてくれんだろ。お前のやり方が正解か何かは知らねぇ。でもそれがお前のやり方だってお前が信じたならやってみるしかねぇだろ」

青峰が言った。

本当にこの人はまっすぐな人間だと思った。
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