シリウスに手を伸ばして
□理由
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「パス!?」
観客や双方のベンチが驚いた。私の前の美奈も。
しかし、それはフェイクで私はそのままロールする。美奈はしまった、と思ったのか、急いでついてきたが私はその後すぐにフロントチェンジで切り返した。美奈の目が驚きで見開かれる。
がら空きの左を私は抜いた。フォローが詰めてくる前に、私はジャンプシュートを放つ。
ボールはリングをくぐる。
「すげー!何だ今の!?」
「やっぱり帝光のエースは天才だ!」
観客席がわいた。
美奈の目は驚きで見開かれていた。
「今の…始めてみる技…」
『そりゃあそうさ。私も初めてやったからね』
美奈にそう言い残して、私はディフェンスしに戻った。
「ライに何言って来たんスか?青峰っち」
涼太が言った。
「平たく言やぁこの試合だけプレースタイルを変えろってことだ」
青峰はハンドリングしながら涼太の問いに答えた。
「相手の4番がいくら上手いっつったって、ライのドライブを見切りそれに反応するのは女子にはかなり辛いだろ?それをアイツはかなりの数止めてやがる」
「確かにそうっスね」
「ライはアイツに先読みされてる。もしくはライがもつどのパターンで来られても大丈夫なよう特訓してやがる」
「そりゃあ美奈は昔のチームメートなんである程度の型は知られてると思うっスよ」
「お前もっと早くそれ言えよ!」
青峰に涼太がど突かれた。
「…ってぇ〜」
涼太が涙目になった。
「ライのその型を知られてるから4番はそれを止めるために練習したんだろ。かたやライは長い間敵との差がこれ以上出来ることを嫌って本気でバスケしなかった。そうすりゃあライの成長は自然とそこで止まる。変わらないライを相手は倒すために練習したんだ。昔の型を全て網羅してな」
それが前半の結果だ、と青峰が言った。涼太は未だど突かれた肩をさすっていた。