シリウスに手を伸ばして

□嫉妬と苦悩
1ページ/7ページ

※途中まで美奈目線になります


私は同学年の誰よりも早くバスケを始めた。
少し年上の兄がやっていたのもあるし、その背中について行きバスケを純粋に楽しいと思ったのも事実だ。

小学生になる前から自分の頭よりも大きなボールに触れ、それがとても好きになった。兄のするバスケというスポーツにひどく魅せられ、小学校に入学するやいなや私は兄が所属していたミニバスの女子チームに入団した。

最初は基礎ばかりで正直嫌なこともたくさんあった。筋肉もそう簡単にはつかないし、当たり前のようにたくさん走らされて、辛いことばかりだった。

でも、私はバスケをやめたくなんてなかった。結局辛さも、ボールがネットをくぐる音やバッシュのスキール音、バスケを楽しむ気持ちには勝てなかったのだ。

唇を噛みしめ、苦しいことに耐えてきた。そして私は二年生になる直前の春休み、ユニフォームを渡された。

「お前もやってみろ」

コーチに呼ばれた名前。言われた言葉。信じられなかったが、手に握る夢にまで見たユニフォームが現実だと訴える。

私はそれからすぐにレギュラーになった。勿論6年生に比べれば体は小さかったが、スピードとキレを認められていた。上級生も私を頼ってくれて、私も皆を頼って。

バスケのチームプレイの素敵なことを学んだ。



ただ、幸せは長くは続かない。このチームに一人の同学年が入団したことで、このチームは大きく変わることになる。

『藍澤ライです。よろしくお願いします』

同じ小学校で、見たことある子だった。仲間が増えることは私にとって喜びだったので、私はライをすぐに好いた。

『美奈、このプレーおしえて!』

「勿論!」

私はたくさんのことをライに教えた。長い間一緒にいた。ミニバスの皆にもいろんな親にも、姉妹みたいだと言われてきた。私もライを家族のように愛したし、ライも私に愛を返してくれた。
でもそれはすぐに崩れることになる。

「ライナイシュー!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ