シリウスに手を伸ばして
□新人戦
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ブザーが鳴る。
「178対15で帝光中の勝ち!!」
審判の声が試合終了を知らせた。私は頬から首筋へ流れようとした汗を拭った。
あれからは特に何も大きな事件が起きることはなく、ついに新人戦がやってきた。
女バスは午後の試合の一発目で、今その試合が終わりを告げた。二階席にはベンチ入りしていない女バスの他に、男バスの皆もいた。
荷物が置かれている二階席に戻れば、皆が来た。
「一発目とはいえ、さすがだったっスよ」
涼太がハイタッチをしながら言ってきた。
『当たり前でしょ?私を誰だと思ってるの?』
私がそう返す。他にも真ちゃん以外はハイタッチしてくれた。お堅い真ちゃんはまだ初戦なのだよ、とか言っていた。
「男バスはこの次だっけ?」
私たちの試合をしたBコートの隣、Aコートではまだ午後一発目の試合をしていた。男バスはその次の次の試合になる。
「ああ。女バスはもう今日はないな?」
『互いに第一シードだしね。ないよ』
今日はこの試合でもう終わりだった。今回の新人戦は本戦と呼ばれるやつで、予選から勝ち上がったチーム18個のみがコートに立つ権利を持つ試合だ。総体の二位までは他のチームより一試合少なくなっている。
今日でベスト4が出揃い、明日で都の頂上が決まる。
「そろそろアップ始めるぞ。ストレッチが終わったら各自始めろ」
征十郎が言った。
皆が騒がしく動き始めた。
『頑張ってね』
私がそう皆に告げれば、皆が振り返る。
「ありがとう!ライ!」
「俺の成長ちゃんと見て下さいっス!」
「うん。ライちん。おかし準備してて」
「ありがとうございます」
「当たり前なのだよ」
「おうよ」
「ああ。疲れてるなら帰っててもいいからな」
それぞれが言葉を残した。
『待ってるよ。ちゃんと見てる』
征十郎にそう返せば、少し彼は笑って私に背を向けた。
女バスは先ほどの試合のミーティングをして、解散した。私はBコートの帝光ベンチの上で男バスの試合を待っていた。