シリウスに手を伸ばして
□新人戦
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他にも男バスのベンチ入りしていないメンバーもいる。男バスも女バスに劣らずたくさんの部員がここにいる。
目の前の試合が終わった。コートの中心で出ていた10人が並ぶ。エンドラインには帝光中とその相手が並ぶ。
「ありがとうございました!!!」
「お願いします!!!」
コートの中の10人がはけると同時に、次の試合のアップに2チームが入る。私はその姿を見た。公式戦で皆の姿をしっかり見るのは初めてのことだ。
約15分のアップの時間が過ぎた。それぞれのスタメンがコートの中心に並ぶ。白いユニフォームに帝光という字が書かれている。私の隣のたくさんの部員がきっとあのユニフォームを喉から手が出るほど望んでいるのだろう。
審判の笛が鳴る。
「お願いします!!」
試合がついに始まった。
帝光のスタメンはいつもの皆のテツ以外。テツはさつきの隣に座っていた。
ジャンプボールは敦が難なく触り、征十郎にボールが渡る。
帝光の攻めが始まった。
私は皆の姿に目を奪われた。いつもは普通にやり合ってるからそんなに目に付かないが、こうやって見ているとすごいわかる。他の学校とは、格が違う。
すぐにフロントコートに運ばれるボール。吸い込まれるように入るシュート。
これが、帝光中男子バスケ部。
食い入るように見つめ、気づけば試合は終わっていた。最終スコアは204−5。完全な勝利だった。
皆の帰る準備が終わって、会場を出たのはもう17:00くらいだった。
「まずは互いに一勝だな」
征十郎が言った。
『まずはなんて言ってられないね。私はてっぺんしかとる気はないよ』
そう言ったら征十郎は笑う。
「俺もだ」
二人で笑ってたら、後ろから頭を小突かれた。振り返ると、青峰が笑っていた。
「相変わらずお前は上手ぇな」
『青峰こそ楽しそうにやってたよ』
勝った後涼太と肩を組み、笑う姿を見て私も自然と笑みがこぼれた。
私はもう女バスの世界では、勝つことが当たり前になってしまった。
得点を見てもあまり何とも思わない。