シリウスに手を伸ばして
□ピンチ
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青峰と話をした次の日のことだった。その日は女バスと練習だった。男バスは私が男バスの体育館に行ったときもやっぱりまだ練習していた。そして今は皆が帰り支度して来るのをシューティングしながら待ってる。そんなときだった。体育館の入り口から灰崎の姿が見えたのは。
私はすぐにボールをボールケースに戻した。そして近くにいた男バスに伝言を頼んだ。
『悪いけど皆にちょっと待っててって言ってて!』
頼んだ奴はまだ私も話せるタイプの人だったので、快く了承してくれた。私は灰崎がいるとこに走った。
青峰やテツの忠告はちゃんと覚えていた。でも私はただ一言話すだけだから、一人でも大丈夫と思ってただ一人灰崎のもとへ行った。
『灰崎ー!』
私が呼ぶと、灰崎は私の方を振り返った。
「あれー?ライちゃんじゃん?」
何?俺のために走ってくれたわけ?と灰崎が言ったが、私は話し出した。
『この前の返事だけど、私は灰崎とは付き合えない』
そう言ったら、灰崎の顔は少し曇る。
「何で?」
灰崎が言った。
私はありのままに伝える。
『タイプじゃないっていうか、灰崎と付き合うって想像できないし、灰崎よく知らないし』
そう言ったら、私は腕を灰崎に捕まれた。
何するのさ?といった視線を送れば、灰崎の目と合った。
「ちょっと来いよ」
何かヤバそうな雰囲気だと思った。
『皆が待ってるからもう帰「来い」
それとも、と灰崎が一度言葉を止めた。
「来週は新人だろ?女バスのエースの腕が折れたなんていったら誰が納得すんだろうなァ?こんな理由でよォ」
灰崎の嫌らしい笑みに心底嫌悪を覚えた。
私が黙ってるのを見て、灰崎は大人しく着いてこい、と私の腕を引いた。
私はエースとしても自分としてもプライドが試合欠場だけは絶対許せなかったので、灰崎に大人しく着いていくことにした。
連れてこられたのは、校舎裏。人通りは全くない。恐らく技師のおじさんくらいだと思う。でももう人は通らないだろう。夕日が空を赤く染めている今以降には。
着いたら灰崎は腕を放すと同時に私を壁に打ち付けた。
『痛っ!』