シリウスに手を伸ばして

□ピンチ
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「俺が何でお前に告ったのか、話してやるよ」

灰崎が目の前で笑う。私は頭をぶつけてしまったからか、意識が朦朧とした。しかし灰崎が意識を失うことを許しはしなかった。平手打ちで頬を張られる。痛みで意識を戻した。

「ちゃんと聞いてもらわなきゃ困るぜェ?」

灰崎は語り始めた。

スタメンを涼太にとられたこと。
征十郎に退部させられたこと。皆から聞かせてもらっていたこととだいたい一致する。

「そして涼太の幼なじみのライちゃん。ましてやアイツ等のお気に入りとか聞いてなァ」

灰崎の手が私の頬を撫でた。悪寒が走るその感触に私は耐えきれず顔を背けた。

「拒否すんなよ」

灰崎の手が私の顔を固定する。

いやだ。触らないで。
助けて…。

嫌らしい視線がなめるように私を眺めた。

「アイツ等のそんな大切なモンを奪っちまおうと思ってよォ」

私の目が見開かれたその時、灰崎が近づいてきた。後ろには壁。前には灰崎。逃げ場はなかった。







その頃。

「ったく着替えに何でんな時間毎回かかんだっつの」

着替えを終えた青峰が体育館に足を運んだ。周りが余りに遅いので、暇つぶしにライと1on1でもしようかと思っていた。が、ライの姿はどこにも見えない。

「あ、青峰ー。ライならすぐ戻るから待っててとか言ってたぞ」

チームメイトが言った。

「ふーん。どこ行ったわけ?アイツ」

と俺が尋ねれば、そのチームメイトが顔をしかめて言った。

「それが灰崎に腕捕まれてどっか連れてかれたんだよ。ライと何の関係が…って、青峰!?」

チームメイトの話を最後まで聞いてるほど余裕はなかった。
灰崎に腕を捕まれてどっか連れてかれた?
どっちの方に行ったかだけそのチームメイトに聞いて、俺は荷物は体育館に置きっぱなしで走り出した。嫌な予感しかしない。だから一人で行くなっつったんだ。
練習後で疲れているとは言え、時は一刻を争う。俺はとにかく全力で走ってライを探した。
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