シリウスに手を伸ばして
□以前の5人目
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「さすがライ。わかってるね」
征十郎がこちら側にやってきた。
「二週間前位に追いつめてあとは徐々に調整に入る。そうすると試合でベストが出せると聞くからな」
征十郎が言った。
『ま、辛くない訳がない時期ってことだよ』
私は座っている涼太の頭をポンポンと撫でた。
「そういや一回戦はどこだっけ?」
青峰が言った。
「ふん、バカめ。そのくらい頭に入れておくべきなのだよ」
真ちゃんが返す。
「そういや女バスはどうなんだ?」
征十郎が聞いた。
『都立体育館で最初は春日野中』
「会場は一緒か」
ならライの試合、見させてもらうよ、と征十郎が笑った。
『別にいつもの練習と変わらないさ。やることは一緒だ』
ライは不敵な笑みを浮かべて答えた。
『勝つよ。誰が相手でも』
「俺たちもそうさ」
征十郎も十分負けないくらいの不敵な笑みだ。この二人は出来れば一緒に組ませたくないなー、とその場にいた何人かが思った。
練習が終わり、皆が着替えるのを体育館で待っていた。ボールを指先で回していたら、誰かに声をかけられた。
「見ねぇ顔だな。新入りのマネージャーか?」
私の目の前には見たことのない男子が立っていた。なんていうか、ガラ悪そう。
『違うよ。女バスの一人だ』
私がそう返すと、その男子は私が遊んでいたボールをとった。
『何すんのさ。返して』
私がそう冷たく言い放てば、男子はため息をついた。
「お前なかなか顔は可愛いと思うけど、性格キツいなァ…。ま、俺の相手しろよ」
男子が私の腕を握り、コートの中心まで連れてきた。バスケしろ、ということらしい。その乱暴さには本当に腹が立った。だいたいこいつバスケできんのか。
『アンタ男バス?』
「いや、今は違ぇよ」
意味深な返事に眉をひそめたが、男子からボールを渡されて私はドリブルをついた。
相手の様子を見る。結構やるっぽい。というか、雰囲気は今の征十郎や涼太たちと変わらないものがある。一体誰なんだろう。